研究課題/領域番号 |
13440096
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
伊東 千尋 和歌山大学, システム工学部, 助教授 (60211744)
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研究分担者 |
白井 正伸 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30303803)
秋元 郁子 和歌山大学, システム工学部, 助手 (00314055)
神野 賢一 和歌山大学, システム工学部, 教授 (80024339)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2001年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
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キーワード | 擬一次元有機電荷移動錯体結晶 / TTF-CA結晶 / スピンソリトン / 光誘起準安定状態 / パルス電子スピン共鳴 / 赤外反射分光 / 二量体化 / 赤外反射分 / 擬一次元有機電荷移動錯体 / 電子スピンエコー / 光誘起相転移 / ESEEM |
研究概要 |
擬一次元電荷移動錯体TTF-CA結晶の示す光誘起相転移について、光誘起相の構造を解明するための手法の開発とこれによる光誘起新構造相の構造およびその出現過程を明らかにすることを目的とした。特に、電子スピンエコー検出磁気共鳴法とフーリエ変換赤外反射分光法の有用性の確認、光誘起相および光励起により導入される準安定状態の特徴を明らかにするための研究を実施し、以下の主要な結果を得た。 (1)電子スピンエコー検出磁気共鳴法を用い、通常の方法では非常に大きな不均一幅のために分離不可能であった極低温におけるスピンソリトンの角度依存性を測定した。得られた結果は、スピンソリトンが単独の分子イオンに局在した状態であることを示す。さらに、スピンソリトンについて電子スピンエコー振幅変調効果(ESEEM)を確認した。得られたESEEMをフーリエ変換することにより、TTF-CA結晶のスピンソリトンのENDORスペクトルを初めて得た。得られたスペクトルは主として^<35>Clによる超微細構造相互作用の情報を与える。 (2)光誘起相転移を誘起するに足るレーザ光の照射の下でESR信号の変化を測定した。積層軸に垂直な偏光で励起した場合には信号が定常的に減少する。この結果は、スピンソリトンが、光誘起相転移により消失することを示し、光誘起相転移のプローブとして利用できることを示している。パルスレーザ照射直後のESRスペクトルの変化を時間分解測定した結果、積層軸に平行な偏光励起の場合にもESR信号の過渡的な減少が生じることを見出した。この結果は光励起によりスピンソリトンの状態が大きく変化することを示す。 (3)フーリエ変換赤外反射分光測定により、光誘起相転移に至る前に電荷移動吸収帯の形状が大きく変化することを明らかにした。電荷移動吸収帯の変化は、低温相の特徴であるTTFとCAの二量体化歪みの変化を示唆する。
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