研究概要 |
本研究では,地球科学の新しい発見に寄与するために,既存の地震計の性能を凌駕できる装置を開発している.平成13年度は,(A)NS交互着磁のフェライトシート磁石を使用し,その細い着磁帯列に対して水平面の直交方向を板バネクロスヒンジで拘束し錘を安定に浮上させ,振り子として動作させた.そして振り子の自然周期が11秒以上達成可能であることを確かめた.(B)振り子に付属した磁気バネでヒンジに対してバネを作り,自然周期が増減できることも確認した.これから,振り子が理論通りに動作していることも判った.(C)永久磁石を使った地震計は地磁気の変化も影響する.この効果を除くために,地磁気を1/500程度に落とせる多層型のパーマロイ防磁ケースを開発した. 平成14年度は,(1)錘の位置を制御するためのアクチエータと速度制御回路,静電容量型位置検出器でフィードバックループを構成し,振り子がサーボ型地震計として動作することを確認した.(2)背景地動ノイズの観測では,脈動らしきものを確認した.また以下の事を行った.1.制御回路のノイズを低くできる,マイクロ波などで使用している素子間の信号の絶縁が良いストリップライン的なものと多層基板反的な要素を組み合わせた,安価な実装方法で制御基板を設計・試作した.2.観測から制御回路用の電源(DC10V)が重要であることがわかり,調査の結果,経験的に蓄電池を電源にすることがノイズ低減に効果があることも判った.この理由から,一つの筐体の中にAC100VからDC13Vに変える安定化電源と,それに接続された蓄電池,さらに蓄電池に接続されたDC10Vの安定化電源の構成で,無停電機能も持ち合わせた低ノイズ電源を開発・試作した.評価実験では,1Hz以上の周波数帯域でノイズレベルがマイナス百数十デシベルボルトを記録した.また長周期の電圧ドリフトも10^<-6>以下であった.
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