研究分担者 |
吉田 孝紀 信州大学, 理学部, 助教授 (00303446)
村越 直美 信州大学, 理学部, 助手 (80270966)
公文 富士夫 信州大学, 理学部, 教授 (60161717)
卜部 厚志 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (20281173)
栗田 裕司 新潟大学, 理学部, 助教授 (60334645)
酒井 潤一 信州大学, 理学部, 教授 (30020663)
三瓶 良和 島根大学, 理学部, 助教授 (00226086)
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研究概要 |
13年度の淡水・海洋域での既存コアによる研究結果と汽水域での研究結果を比較するために,新潟平野北部の加治川と中央部白根において平成14年4月下旬から5月にかけて,最終氷期以降の堆積物をオールコアで採取し,堆積相解析とサンプルの粒度・有機炭素量・イオウ量・堆積有機物分析をおこない,堆積有機物変化と海水準・気候変動との関連について検討を行った.また,加治川サイトのコアから7つ,白根サイトのコアから5つの^<14>C年代をサンプルの状況に応じてAMS法もしくはβ法を用い測定した.コアの解析結果から,現時点で次のような結論が導かれている. 1.堆積相解析の結果は,縄文海進期におけるこの地域の海進海退の進行が単純な1サイクルでなく,細かな周期の変動を含んだものであることを示している.また,シーケンス層序学で言う最大氾濫面形成時期が信濃川河口の中心部である白根地域とエスチュアリー縁辺部にあたる加治川地域では異なることが明らかになった.加治川地域では縄文海進高頂期と一致する6,100年前に最大氾濫面が形成されているが,白根地域の最大氾濫面形成時期は,それより早い7,800年前頃と推定される. 2.全有機炭素量(TOC)と全イオウ量(TS)は,エスチュアリーの閉塞度による酸化・還元環境の変動を記録している.また,全イオウ量は海水の流入を示す指標としても有効であり,堆積相と併用することで細かな海進海退を復元することが出来る. 3.堆積有機物組成は海域の拡大やエスチュアリーの閉塞などによって変化し,さらに無定形有機物比は堆積物表層の酸化・還元環境と関連している.これらのことから,堆積有機物組成は海水準変動指標として極めて有効であることが明らかになった. 4.堆積有機物の蛍光特性の変化と海水の流入・埋没深度に関連が見られ,これは地層中に保存される有機物の堆積後の変化と堆積環境の関連で今後興味深い課題となると考えている.
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