研究分担者 |
赤井 純治 新潟大学, 理学部, 教授 (30101059)
氏家 誠司 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (40185004)
三瓶 良和 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (00226086)
松本 一郎 島根大学, 教育学部, 助教授 (30335541)
川嵜 智佑 愛媛大学, 理学部, 教授 (50136363)
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研究概要 |
海洋性プレートの沈み込みや付加体の形成を通じてマントルや地殻に供給される堆積岩起源有機物,炭質物の循環とその実態について,記載岩石学,EPMA,無機・有機地球化学,TEMでの観察,実験岩石学を用いて総合的に検討した。 (1)Sタイプ火成岩類及び泥質岩類と花崗岩類との相互作用における炭質物:花崗岩質メルトが泥質岩と接触する時,炭質物および炭化水素類の多くは流体となり系から逃げるが,一部は粘性の高いメルトにトラップされ,固結過程で重合し高分子化すると結論した。花崗岩類中の黒雲母には極微細な炭質物が均質に分布することから,結晶構造中に炭素もしくは炭質物が入っている可能性が高い。 (2)幌満カンラン岩体の研究では,EPMA分析の結果,カンラン石や輝石中にBやC1を含む炭質物を発見した。全岩の熱分解GC質量分析によって有機物の存在を確認した。研究結果から幌満カンラン岩体が沈み込みスラブ由来の流体の影響を受けていることを反映していると考えた。HMAや初生的玄武岩においてもカンラン石中に炭質包有物を発見し,また全岩中から有機物の存在を確認した。HMA中の炭質物の成因として,安定炭素同位体比がかなり軽いことを考え併せ,堆積岩有機物の熱分解で生成したメタン等の炭化水素が逃げずに残り,マグマの生成・冷却に伴って高分子化した可能性が高いと結論した。 (3)酸性ガラス+水+炭化水素化合物を用いた5kb,900℃の実験結果では,固結した試料中に炭化水素化合物が存在しており,低分子炭化水素化合物を出発物質として添加した場合,もしくは急冷した場合には,固体化して残る炭化水素化合物の割合が小さくり,一方,比較的高分子のものはより重合が進み,固体となって保存されるものが多くなること,及び徐冷によって重合・固化が促進される可能性を示している。実験結果は天然岩石からの結論を支持するものである。
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