配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2003年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2001年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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研究概要 |
1.キレート吸着体カラム濃縮-ICP質量分析法による多元素同時分析法の改良を進めた.溶存態と酸可溶態の化学種別分析法を確立した.北太平洋におけるFe, Co, Ni, Cu, Zn, Cd, Pbの分布を求めた.Feは溶存態に比べて酸可溶態濃度が高く,反応活性な粒子態として多く存在することがわかった.表層水の溶存Fe, Znは,亜寒帯北太平洋では枯渇しているが,亜熱帯北太平洋では高濃度で存在することを見出した. 2.1999年夏期の北太平洋亜寒帯域において,植物プランクトンの光合成潜在能力および増殖速度に東西差があり,その違いは海水中の鉄濃度に支配されていたことを明らかにした.また,この時の植物プランクトン群集組成を高速液体クロマトグラフィーおよびフローサイトメトリーから評価した. 3.2001年の西部北太平洋亜寒帯域の現場鉄散布実験において,植物プランクトンの光合成潜在能力を評価し,現場海域の植物プランクトンが鉄制限環境下で生長していたこと,および鉄散布により生理状態が顕著に改善したことがわかった.実験海域では鉄散布前の粒子態鉄濃度は約5nMであった.この粒子態鉄はおそらく大気から塵として供給されたものであるが,植物プランクトンにとって利用しにくい化学形であったと考えられる.また,溶存Co, Ni, Cu, Zn, Cd濃度の減少を見いだした. 4.キレート配位子交換/吸着カソーディックストリッピングボルタンメトリーを用いた高感度定量法を確立し,真核植物プランクトン由来の鉄結合配位子を見出した. 5.鉄欠乏状態における植物プランクトンからRNAを分離精製する手法を確立した.鉄欠乏下において,細胞膜で生じる外膜タンパク質の組成変化を見出した. 6.有機鉄化学種存在下の培養実験により,植物プランクトンの増殖は,有機配位子の種類と濃度により規則的な影響を受けることが分かった.
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