研究課題/領域番号 |
13440195
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北川 進 京都大学, 工学研究科, 教授 (20140303)
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研究分担者 |
張 浩徹 京都大学, 工学研究科, 助手 (60335198)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
2002年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
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キーワード | 金属錯体 / 多孔性 / 誘電物性 / アミド結合 / ゲスト分子 / 構造変換 / ナノ空間 / ストレス空間 |
研究概要 |
本研究の目的は、第一に「弱いストレス」を与える空間(凝縮、クラスター化などの特異的集団現象の創出)、第二にゲスト分子に、「強いストレス」を与え活性化や変換を行う空間(効率変換材料)、最後にゲスト分子により、空間を構築する枠組みがストレスを受けて変形または活性化する動的フレーム空間(ゲスト応答材料、双安定性による環境応答材料)の創出である。 特にゲスト応答機能をもつ多孔性錯体固体の合成化学機能付与設計を行なった。具体的には、アミド結合を持つ架橋配位子を用いて配位高分子フレームワーク{[Co(NCS)_2(3-pia)_2]2EtOH11H_2O}_n (1a)、{[Co(NCS)_2(3-pia)_2]4Me_2CO}_n (1d)、{[Co(NCS)_2(3-pia)_2]4THF]_n (2a)、[Co(NCS)_2(3-pna)_2]_n (3)を合成した。1a、1d、2aはゲストであるTHF分子の吸脱着により、構造が変化することを粉末X線により確認した。ここで、2a(1d)【double arrow】2bはゲスト分子(アセトンまたはTHF)の吸脱着により、構造を可逆的に変化することが明らかとなった。ゲストフリーの1bと2bを水にさらす(浸す)とコバルト(II)に水分子が2つトランス配位した単核構造、[Co(NCS)_2(3-pia)_2(H_2O)_2]_n (1c)へと変化することも明らかにした。 2,5-ジヒドロキシ安息香酸(dhba)、4,4'-bipyridine(bpy)およびCu(NO_3)_2・3H_2Oを用いて、2次元シートがdhba部位でπ-πスタッキングをすることによって積層した3次元構造を持つ銅錯体[Cu_2(dhba)_2bpy]_nを合成することに成功した。この配位高分子は合成時に細孔に取り込まれている水分子を取り除くとπ-πスタッキングがずれることによって、2次元シート間が劇的に収縮することが明らかとなった。この錯体の298Kにおけるメタン吸着等温線は、8atmまではまったく吸着が起こらないのに反して、まるで閉じていたゲートが開いたかの様に8atmを境に急激な吸着を示すことが明らかとなった。 また、配位方向に対して非対称に置換基を導入した配位子を用いて、数種の新規配位高分子を合成し、その構造決定に成功した。その非対称部位に由来する特徴的な構造と性質を確認できたことから誘電物性などの物理的機能や細孔の形状、サイズによる化学機能などのさらに進化した新しい機能を研究する上で有用な指針も得られた。
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