配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
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研究概要 |
水溶液内の疎水構造型イオン会合の普遍的重要性に着目し,イオンの周りのミクロ環境及び水構造制御による高機能発現を活用した高機能イオン会合試薬の設計・合成・開発を行った。これらの合成試薬を用いる新しい分離法,分析法を開発した。更に,申請者の提唱した水溶液内イオン会合論の実証的研究を進めた。 1.イオン周囲のミクロ環境を制御した新規イオン会合試薬の設計と合成:イオン会合性,ソルバトクロミズム発現,水への溶解性,イオン会合体の疎水性場への親和性等,分離・分析上重要な機能を備えた試薬として,メチルオレンジ系長鎖アルキルアミノ誘導体,トリフェニルメタン系誘導体,アルキルアミノフェニルアゾアニリニウムイオン及びシアニン系陽イオン等の誘導体を合成・開発した。アルキル基のメチレン基数を増すにつれて,有機陽イオンと有機陰イオンのイオン会合性は増大し,新イオン会合論を裏付ける結果を得た。また,アルキル基が長くなるにつれて,陽イオン色素の発色団の近傍におけるミクロ環境が親水性から疎水性に変わり,ソルバトクロミズムが発現し,吸収波長のシフトが起こった。本ソルバトクロミズム現象を利用することにより,10^<-7>Mオーダーの陰イオン界面活性剤の水溶液一層系での吸光光度定量等が可能となった.更に,イオン会合体の疎水性場への分配特性も大幅に向上し,新規開発のイオン会合試薬の分離・分析試薬としての有用性が実証された。 2.イオンの周りのミクロ環境と水構造の相関研究:キャピラリー電気泳動法による精密イオン移動度測定法を開発し,電荷,イオン半径の異なる各種無機,有機イオンのストークス半径及び比較的弱いイオン会合定数を正確に求めることに成功した。これらの結果から,イオン周囲の水構造を推定することに成功した。ストークス半径とイオン会合性(イオン会合定数)における良好な相関も発見した。これらの結果は,新イオン会合論を直接的に支持するもので,新しい分離・分析試薬開発の大きな指針となった。 3.高感度分析法の開発:染料陽イオンとのイオン会合に基づくリン,ケイ素の高感度定量法の開発に成功し,超純水分析へ応用した。キャピラリー電気泳動法によるアルキルアミン類の誘導体化/分離・定量にも成功した。
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