配分額 *注記 |
15,300千円 (直接経費: 15,300千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 11,700千円 (直接経費: 11,700千円)
|
研究概要 |
本研究の目的は,樹木の成長を議論する基礎として,葉や枝の環境応答を明らかにしようとするものである。平成13〜15年度の3年間に以下のような研究を行った。 1)樹木葉葉肉細胞の細胞壁がCO_2拡散におよぼす影響 安定同位体とガス交換の同時測定により,細胞壁がCO^2拡散の抵抗として重要であることを明らかにした。常緑樹では特に大きな抵抗となっており,気孔抵抗に匹敵する大きさである。 2)陽葉と陰様の厚さの違いの生態学的意義と柵状組織の分化の仕組み 陽葉が厚いのは,葉肉細胞表面積を増やすためであることを理論的に示した。また,陽葉の分化にともなう柵状組織細胞の並層分裂のためのシグナルは成熟葉から送られることを明らかにした。また,並層分裂は垂層分裂と同じ時期に起こることも明らかにした。 3)常緑樹の葉の発生学,構成時の物質収支 葉面積あたりの光合成速度の最大に達するのは葉面積が最大に達する時点より遅れる。光合成系がどのように発達するのかを記載した。また,常緑樹葉の発生には,多くの貯蔵物質を使うことを明らかにした。 4)樹木葉の水分ストレスへの応答 樹木に乾燥ストレスを与えると,成熟葉の細胞の体積弾性率が低下する。この反応は,水ストレス条件下における膨圧の維持に役立つ。また,給水にともない体積弾性率が上昇すること,浸透ポテンシャルの乾燥による低下,給水による上昇よりも早い反応であることも明らかになった。 5)篠崎のパイプモデルの微分による枝の成長の解析 カエデ属2種の当年シュートの物質生産と肥大成長との関係を調べ,篠崎のパイプモデルの微分型を用いて解析した。枝の一年間の肥大成長は,その枝がもつ葉の受光量および枝がもつ長枝の割合によってよく説明することができた。
|