研究概要 |
頭索動物のナメクジウオから、C3及びC6様の遺伝子を単離し、頭索動物における補体系の存在を確立した。特にMAC/perforinドメインを有するC6の存在は、従来貧食の促進だけと考えられていた無脊椎動物の補体系の機能に、細胞溶解活性を加えるものとして注目された。尾索動物のマボヤから、MASP,C3,Bf,C3受容体の遺伝子、蛋白を単離し、無脊椎動物でははじめて、補体依存性の貧食促進機構の存在を明らかにした。また、カタユウレイボヤのゲノムプロジェクトに参加して免疫関連遺伝子のアノテーションを行い、多数の補体遺伝子を確認した。その中には、抗体と反応するClqや、多数の膜溶解成分が含まれており、また、その他の成分でも遺伝子が増幅しているものが多く、尾索動物の補体系が予想以上に発達していることが示された。 主要組織適合性抗原複合体(MHC)クラスIII補体遺伝子の進化を明らかにする目的で、硬骨魚のメダカと軟骨魚のドチザメを調べた。その結果、MHCを有する最も下等な脊椎動物とされるサメでも、C4,Bf遺伝子がMHCクラスI,II遺伝子と連鎖していることが判明し、クラスIII補体遺伝子葉MHCの成立当初からのメンバーであったことが示された。しかしながらメダカではこの連鎖は崩れており、硬骨魚類の系統での大規模なゲノム再編が示唆された。
|