研究概要 |
本研究の目的はマイクロチャネルエピタキシーをSi基板上へのSiCの成長に対して応用する,すなわちSi基板と成長層であるSiC層とを分離することで成長層に欠陥の伝搬を防ぐことが可能であるかということである.最初に他グループが用いた方法であるコラム構造を用いたSiCエピタキシャル成長を試みた.Si(001)面とSi(111)面を用いて試みたが,前者の場合は{111}面を形成しながら横方向成長することが分かったが,後者では確認することが出来なかった.またこの成長過程だけではSiコラム上へも原料原子が拡散すること分かった.その結果としてSi基板と成長層の分離化することが出来ないと結論付けた.そこでSi(001)面を用いて,Siコラム上に拡散しないようなパターンを作ることを提案した.そのパターンとはコラム間の間隔を狭くし,Siコラム側壁エッチングを行うことでT型の構造をした3C-SiC/Siであり,その成長方法をT型構造を用いたSiCエピタキシャル成長と名付けた.その効果によりSiコラム上への拡散は減少した.またTEM観察を行うことで下地のSi基板と分離した成長層である横方向成長層領域の3C-SiCでは,欠陥の低減した領域が形成していることが分かった.これらの結果からこれまで他材料に応用されてきたマイクロチャネルエピタキシーの方法がSi基板上の3C-SiCの成長に対しても応用可能であると考える。そしてT型3C-SiCISi(001)の構造を用いて、縦型マイクロチャネルエピタキシーの成長方法を用いることで縦方向の成長層に欠陥の減少した領域が得られると提案して試みた.その結果として成長層上部で欠陥の減少した領域が得られることが確認できた.また成長層同士の結合部では欠陥が遮断され,欠陥同士が打ち消されることを確認できた.一方で貫通している部分も確認されたので,この遮断効果のメカニズムの解析を行うことでこの効果を確実にする必要がある.
|