研究概要 |
1キロヘルツの繰り返しで出力する,大出力フェムト秒レーザーパルスを用いることで,高出力のテラヘルツ(THz)電磁パルスを発生させ,それを用いて,高速なTHz領域イメージングをおこなうことを目的として,研究をおこない,以下に示すように,十分な成果を得た。電気光学サンプリングによる,THzパルスの時間分解測定の装置において,電気光学結晶とプローブ光を2cmx2cmと大口径にし,CCDを用いて画像を取得することにより,高速なTHzイメージングが可能となった。30ミリ秒程度の積算で,十分な精度のデータを得ている。製作した装置を用いて,集光面付近におけるTHzパルス強度の時間空間分布を測定し,ピークから少しはなれた時間領域において,空間的にリング状にTHz強度が分布することを,初めて見出した。これについて,回折積分およびガウスビーム模型に基づくシミュレーションをおこない,それによって,この現象がTHzパルスに特徴的なものであることを説明した。また,ヘテロダイン検出の手法を用いて,THz電場の直接測定にも成功した。その結果,より感度のよいTHz測定が可能となるとともに,周波数ごとの空間分布などの新しい情報が初めて得られるようになった。さらに,ポンプ光の波長を変えながら時間波形を測定することにより,アンテナの光伝導体材料である,ガリウム砒素とインジウムリンにおける,バンド内超高速電子ダイナミクスの詳細を明らかにした。
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