研究概要 |
マイクロマシンなどの微小電気・機械システムに必要なサブミリサイズ(0.01-1mm程度)のマイクロセンサやマイクロアクチュエータの開発研究が注目されている.本研究では0.1〜数μmの微粒子を搬送ガスで加速し,真空および大気圧環境下で基板に高速で衝突堆積させて厚膜を形成するパウダージェット加工(アブレイシブジェット加工)について検討した.このプロセスは成膜速度が大きく,サブミリサイズの機能構造体を作製するには実用レベルにあるが,微粒子を搬送ガスに混合する機構が不十分であるため,構造体の寸法生成に直接関与する成膜速度やその密度に関与する混合比率が均一でないという問題がある.昨年度は,真空中で微粒子を定量かつ間欠噴射することのできるパウダージェット加工装置を試作した.本年度はこの装置を用いて実験をした.しかし真空中では様々な制約があり,実用化を念頭に置いた場合,大気中での付着加工のほうが利用価値が高い.そこで最初に大気中での付着加工の可能性を最初に検討した.さらに試作した装置を用いて除去作用から付着作用へ変化する砥粒径,噴射条件,噴射速度,加工メカニズムの変化について検討するとともに,付着強度について測定した.その結果,大気中では,アルミナ粒子,炭化珪素粒子をガラスやシリコンの基板に噴射したとき,粒径が約2ミクロン以下に小さくなると除去から付着に遷移することがわかった.付着高さは数秒で定常になり,20-120ミクロンに達した.また噴射粒子の運動エネルギーと,基板の硬度が付着特性に大きな影響を及ぼすことがわかった.また膜の極微小硬度とダイナミック硬度の差から機械的特性を評価する方法を提案した.その結果,シリコン基板に噴射したほうが膜の硬度は大きくなった.さらに,電子材料であるPZT,フェライトも大気圧中で成膜可能であることを示した.
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