研究概要 |
本研究は,高アスペクト比をもつ微細加工形状計測が可能な3次元座標測定用プローブとして,直径数マイクロメートル,長さ数ミリメートルの光ファイバー(マイクロ・光ファイバー)先端部に3次元的にレーザトラップした微粒子を,微小プローブ球とみなした,新たなレーザトラッピングプローブの開発をめざすものであり,マイクロ・ファイバー先端・局所光放射圧場の計算機シミュレーション解析に基づいた基礎研究および新たな強制振動型レーザトラッピングプローブの開発を行い,以下の研究成果を得た. 1.最先端部が先端径約1μmの円錐状に先鋭化されたマイクロ・光ファイバーを伝搬し,その先端から射出された赤外レーザ光(波長1064nm)が,誘電体微粒子に入射した場合の光放射圧場解析モデルを用いて,有限差分時間領域法(FDTD法)を適用した局所光放射場・解析シミュレータを構築した. 2.局所光放射場・解析シミュレータを利用して,マイクロ・光ファイバー先端形状と光放射圧の関係を解析し,先端角36°のテーパー化光ファイバ放射場が直径5μmのシリカ微粒子に対して0.52[pN/mW]の引き上げ力を発生させられることを明らかにし,大気中における誘電体微粒子(プローブ球)のレーザトラップが実現できる可能性を示した. 3.光ファイバー・レーザトラッピングの基本特性を解析するため,新たな強制振動型レーザトラッピングプローブを提案した.さらに,レーザダイオード(LD)の変調光放射圧およびトラッピング光源である赤外レーザ光のAOD偏向による強制振動型レーザトラッピングプローブ光学系を構築した. 4.強制振動型レーザトラッピングプローブ光学系を用いた基礎実験によって,光ファイバー・レーザトラッピングの基本特性である,プローブのばね定数を測定した.振幅応答,位相送れ応答のフィッティングから得られた共振振動数はそれぞれ870Hz,823Hz,それより求まるバネ定数はそれぞれ1.6×10^<-5>[N/m],1.4×10^<-5>[N/m]と得られた.
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