研究概要 |
セラミックス軸受は耐食性,耐熱性に富み,しかも高硬度,軽量であるため,航空機やロケット用のジェットエンジンや工作機械主軸など高速,高精度スピンドルヘの応用が期待されている.本研究は,センタレス研削方式によるセラミックス球の枚葉型加工技術を確立するのが目的であるこれは,従来のセンタレス研削盤における調整砥石をシューに置き換えて,球体加工を可能にするように工作物にX軸とY軸回りの運動をそれぞれシューのXZ平面内の超音波楕円振動とブレードのYZ平面内の超音波楕円振動によって与えることにより,センタレス方式で球体研削を行おうとするものである.また,従来機における調整砥石による工作物の支持作用は可動シューとボールネジ,サーボモータ,直動軸受およびコントローラからなる微小送りユニットによって行う.本研究では,微小送りユニットと超音波振動付加シュー/ブレードを設計・製作し,既設のセンタレス研削盤に取り付けることによって加工実験機を構築する.そしてセラミックス素球について加工テストを行い,到達真球度を把握する.本研究の内容とこれまで得られた結果を次のようにまとめる. (1)圧電素子(PZT)と金属体から構成される超音波振動付加シュー/ブレードを設計・製作した. (2)製作したシュー/ブレードに超音波域の交流電圧を印可し,印可電圧と周波数が振幅に対する影響をレーザドップラ振動計で測定しシュー/ブレードの性能評価を行った. (3)微小送りユニットを設計・製作し,工作物の送り駆動テストを行った.可動シューが0.7μm/s程度の移動速度まで微小駆動可能であることを確認した. (4)製作した微小送りユニットと超音波振動付加シュー/ブレードを取り付けられるように既設のセンタレス研削盤を改造して,加工実験機を構築した. (5)球体加工テストに先立って,構築した加工実験機において1軸回転体(φ1〜5mm,長さ15mmのSK4ピン)の加工テストを予備実験として行った.初期真円度20μm程度の加工物は研削後1.5μm程度まで向上した.これによって,超音波楕円振動による加工物の回転制御に基づく新しいセンタレス研削法を提案することができた. (6)球体のX軸とY軸回りの2軸回転制御テストを行った結果,Y軸回り運動は不安定であることがわかった.これは,共振型のブレードの超音波振動速度が過大でかつ時間的に不安定なためであることが明らかになった現在,非共振型で振動速度が低い新しい原理の楕円振動ブレードを開発中であるその完成次第に球体の回転制御テストと加工テストを行う予定である. (7)センタレス研削方式による球体の成球過程のコンピュータシミュレーション法を開発し,成球効果の最もよい幾何学的支持条件を特定した.
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