配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
2001年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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研究概要 |
マイクロ波の非加熱効果として,水分子の双極子モーメントに作用する回転エネルギー付与が氷晶形成過程に及ぼす影響を検証し,凍結保存技術に応用する可能性についての検討を行った. 実験ではタマネギの表皮組織を主たる観察対象とし,マイクロ波照射環境下における細胞内凍結挙動の顕微鏡観察を行った.一体型冷却ステージを用いた一様冷却による凍結実験,及び方向性凝固ステージを用いた伝播型の凍結形態をも観察対象とし,マイクロ波の照射強度をパラメータとした実験により,マイクロ波が確かに細胞内凍結を抑制することを確認した. すなわち,一様冷却実験では,マイクロ波の放射強度が10mW/cm^2から15mW/cm^2までの時,その照射強度とともに細胞内凍結は抑制されて凍結温度が低下し,25mW/cm^2にまで強めると逆に凍結温度が上昇することがわかった.同様に,方向性凝固実験でも,マイクロ波照射強度を増すとともに細胞内凍結温度は低下して15mW/cm^2で最低温度となり25mW/cm^2で再び凍結温度は上昇した.しかしながら,マイクロ波を照射しない場合には伝播型の凍結が生じる為に10℃程度の広がりをもつのに対し,マイクロ波を照射することによってその温度範囲は半減し,一様冷却実験と同様に5℃程度に狭まることがわかった.このことから,大きな生体組織の凍結保存を行う際にマイクロ波を照射すると,伝播的な凍結の進行を抑制でき,大きな氷晶発生を伴う小過冷度域での細胞内凍結を防止できることが明らかとなった. また,水分子モデルとしてSPC/Eモデルを用いた分子動力学シミュレーションによって,クラスター形成過程におけるマイクロ波の付加が回転運動を促進し,結晶化を抑えることを確認した.さらに,その場の温度レベルで決まる水分子の運動の時定数との比較により,より効果的な波長が存在するという基本的な知見を得ることができた.
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