研究概要 |
本研究では複数の噴流の相互干渉を利用して,その大規模な渦構造を瞬時に捉え,同時に噴流出口近傍での速度場の制御を実時間に行うことによって,噴流群全体に流体の混合に対する機能性を付与する方法を確立した.流体運動のセンシング手法を,マトリックス状の熱線センサーを独自に開発した.同時に,マイクロアクチュエータ技術の導入により,個々の噴流出口での高時間分解能で流れに擾乱を与える手法の構築を行った. 13年度の作成した実験流路を用いて,引き続き系統的な測定データを蓄積した. 制御結果パターンとセンサーにより検出される情報パターンをテーブル化した.センシングされる情報は並列した熱線流速計により計測される速度分布である.ニューラルネットワークで用いられる流れの時間スケール,すなわちエネルギー包括渦の時間スケールなど,流動構造変化の応答時間の同定を行った. 操作の自由度は各噴流の出口速度の3つまたはノズル出口に設置したスリットの数4となるが,それに対して最終的な制御結果の自由度は,濃度分布であり,熱伝達率分布であるので,中心付近の熱伝達率を高く,左右に広がるにつれて減少する分布,一様な濃度や熱伝達率の分布の制御パターンを限定するといった自由度の拘束条件の設定を,PIVの結果より検証した. 衝突噴流の熱伝達に関してはPIVと壁面温度変化を同時計測してその機構の詳細を明らかにした.励起による温度変動の特性を実際の流路に適用し,温度変動を抑制するシステムを構築した.センシングした速度分布の時間平均量を入力として,制御の教師信号のテーブルを作成し,学習させたアルゴリズムで,実際の流路に適用し,時間変動量の入力を含めた時間応答性の短い能動制御を実現した.
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