研究概要 |
実機ホットレベラのワークロールに発生する多角形化現象を実験的および解析的に解明し,多角形化現象を防止するための初期設計の指針およびロール回転数変更による遅延対策を考察した.結果は以下のようにまとめられる. 1.多角形に摩耗した廃棄ロールの形状測定から,ロールおよび円周方向位置によっても角形数が異なることがわかった.たとえば,475Hzの1次回転モードに関連した37角形と63Hzの2次並進モードに関連した49角形が主に生じていたことを明らかにした. 2.稼働中のホットレベラの振動測定から,ロールの多角形摩耗が成長するにつれて,特定の振動数成分が選択的に現れ,測定時にはホットレベラ系の2次の固有振動数のみの発生を確認した. 3.上ユニットを剛体として面内2自由度系が4本のロールを介してプレートと接触振動する解析モデルを用い,摩耗を伴う時間遅れ効果を考慮してロールの多角形摩耗を解析した.その結果,実機で発生した現象を解析結果との良い一致を確認した. 4.解析結果から,たとえロールの設定回転角速度やホットレベラの固有振動数を変更してもロールの多角形摩耗を本質的に防止することはできない. 5.多角形摩耗を起こさないための初期設計の指針を定めるため,モード解析を用いて多角形摩耗に関与する摩耗のしやすさを表すパラメータα_i,構造剛性に関するパラメータβ_iおよび減衰に関するパラメータζ_i、を導入し,それらの多角形摩耗への影響を調べた.ロールの多角形摩耗現象を防止するためには,α_i、β_iを小さく,ζ_iを大きくするように初期設計を行う必要がある.ロールの材質は耐摩耗性をもち,ロールの接触剛性を小さく,系の支持剛性を大きくし,しかも減衰を積極的に取り入れる必要がある. 6.お互いに近い2つのロール回転数を交互に変化させて多角形摩耗現象を遅延させる方策を提案し,その効果を数値シミュレーションで明らかにした.
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