研究概要 |
フライホイール型電力貯蔵装置の概念設計を基に,フライホイール型電力貯蔵装置の試作を行った。また,電力貯蔵装置全体は真空容器内で固定支持する必要があり,冷却を効率良く行うために装置と容器との断熱法について検討・評価した。真空容器は非常に重く危険であるため,ステンレスワイヤと滑車とによる吊り下げ機構を設計・試作した。また,安全面を考慮して,2重の吊り下げ機構を採用した。 試作したマイクロ電力貯蔵装置の構造評価を行った。まず,各種結線のため利用したフィードスルーを取り付け,真空容器内の真空度を評価した。その結果,使用したフィードスルーは真空環境での使用が可能であることが分かった。次に変位センサ,真空漏れに関係のない部品などを真空容器内に入れて真空度の評価を行った。さらに,超電導体を入れる冷却容器の真空漏れを真空容器内で1個ずつチェックした。以上の確認が終わった段階で,液体窒素を導入した状態での真空漏れをチェックした。最後に,マイクロ電力貯蔵装置全体を真空容器内に入れて,真空装置内での真空漏れをチェックした。その結果,本装置で真空環境が得られることが判明した。 マイクロ電力貯蔵装置の空気中での評価・検討を行った。まず,メカニカルな位置決め機構を用いてフライホイール付きロータの中心軸合わせを行った。この場合,ラジアル方向の位置合わせのみを考えた。次に,空気中で超電導磁気軸受の磁場中冷却を行うことによって,メカニカルな位置決め機構の動作実験を行った。最終的には,フライホイール浮上までの一連の作業を真空容器内で行う必要があることから,これらの実験機構や手順を評価・検討し,浮上に成功した。 フライホイール軸中心設定後,超電導磁気軸受の磁場中冷却状況,軸受剛性,ロータの加振特性などの評価・検討を行った。更に,フライホイールの回転減衰時におけるエネルギー損失に視点を置いて蓄積エネルギーの評価・検討を行った。具体的には,超電導磁気軸受のみを用いた場合におけるフライホイールのエネルギー損失の評価・検討を行った。また,同時にフライホイールの振動特性も評価・検討した。
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