配分額 *注記 |
14,600千円 (直接経費: 14,600千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2003年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2002年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2001年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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研究概要 |
本研究は次世代の情報の高密度化に対応すべく,Si基板上に新規の方法によりZnOの近紫外励起子レーザ発光デバイスを形成することを目的とした。以下に,本研究により得られた新たな知見等を述べる。 ◇Si(111)基板上ZnOエピタキシャル薄膜の形成 従来,Si基板上酸化物エピタキシャル薄膜の形成は困難であったが,本研究において,最初にZnS薄膜をS(111)基板上にエピタキシャル成長させ,これを酸素雰囲気中で酸化するという方法によって世界で初めてSi基板上にZnOエピタキシャル薄膜を形成するとともに,3.34eVにピークを持つ自由励起子による発光のみを得ることに成功した。 ◇si(111)基板上Zn_<1-x>Mg_xOエピタキシャル薄膜の形成によるバンドギャップの制御 ZnSとMgSの混合ペレットを蒸着源として,電子ビーム蒸着法によりSi基板上にZn_<1-x>Mg_xSエピタキシャル薄膜を成長させ,これを酸化することによってZn_<1-x>Mg_xO薄膜の形成に成功した。 更に,x=0.15までの薄膜においてウルツ鉱型のZn_<1-x>Mg_xO膜が形成され,Mgの添加量にともない励起子発光ピークエネルギーがZnOの3.34eVからZn_<0.85>Mg_<0.15>Oの3.45eVまで高エネルギーへシフトすることが確認され,エネルギーギャップの制御がなされたことが示された。 ◇Si(111)基板上Z_<1-x>Mg_xOエピタキシャル薄膜の伝導性の制御 硫化物の酸化によりAlを添加したZnOエピタキシャル薄膜がAl添加量0.1at%において5.21Ω-cmのn型伝導性を示し,本研究の酸化物エピタキシャル薄膜の形成においても伝導性の制御が可能であることが示された。 本研究では,伝導性の制御に高温での熱処理を必要としないレーザドーピング法を適用することも特徴の一つである。Zn_<0.9>Mg_<0.1>O薄膜のKrFエキシマーレーザ110mJ/cm2照射によるAlドーピングにより近紫外域の発光が支配的な良好な薄膜が得られた。電気的特性については,Alの膜厚が15nmのとき,抵抗率45.9Ω-cm,移動度0.92m^2/V-s,キャリア濃度1.48×10^<17>cm^<-3>の特性が得られ,n型の低抵抗化がなされたことが示された。Sb極薄膜を用いたp型化に関しては,十分な低抵抗化には至らなかったが,ドーピングの兆候は認められた。しかし,伝導性の制御に関してはさらなる研究が必要である。 以上,本研究により,これまで実現されていない高効率Si基板上近紫外発光ZnO発光素子の形成の可能性が示された。
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