研究概要 |
分散仮想環境における触覚メディアに対するサービス品質(QoS : Quality of Service)制御として,メディア同期制御,因果順序制御,トラヒック制御,及び誤り制御の研究を行った.また,触覚メディアと一緒に音声やビデオ等を扱うために,3次元仮想空間内に複数のCGオブジェクトを置き,音声やビデオ等を出力する揚合についても研究した. まず,メディア同期制御に関しては,触覚メディア内同期,及び音声と触覚メディア間同期のために,研究代表者らが以前に提案したVTR(Virtual-Time Rendering)アルゴリズムを拡張し,実験によって,その有効性を確認した.また,触覚メディアの端末間同期のために,同じく既提案の同期マエストロ方式という方式を拡張するとともに,因果順序制卸を行う方式を考案し,実験によって有効性を示した. 次に,触覚メディアのトラヒック制御と誤り制御のために,dead-reckoning(推測航法)に着目し,ネットワーク遅延に応じてdead-reckoningの閾値を適応制御するとともに,上記の拡張VTRアルゴリズムと組み合わせて用いる方式を検討し,その有効性を定量的に示した.この他,ネットワーク遅延によって反力が大きくなる現象を緩和するため,ネットワーク遅延に応じて反力の計算に用いる弾性係数を動的に変更する方式を考案し,実験により,その有効性を確認した.また,3次元仮想空間の立体視を実現し,ネットワーク遅延揺らぎ等の影響と立体視の効果との関係を明らかにした. さらに,3次元仮想空間内において音声やビデオ等を出力したり,CGオブジェクトをインタラクティブに動作させる場合を考え,ネットワーク負荷,端末のCPU処理負荷,及びオブジェクトの重要度に応じて,メディア同期制御トラヒック制御,CPU処理負荷制御等を行う適応型QoS制御方式を提案し,有効性を確認した.
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