研究概要 |
道路橋の健全度評価システムの確立を目的とし,高精度構造同定理論の構築とその検証のための実験を行った.本研究で得られた知見をまとめると以下のようになる. 1.高精度構造同定理論の構築 常時微動から構造物の振動数を高精度に推定する同定アルゴリズムを開発した.構造同定アルゴリズムに加え,より詳細に振動数を抽出するための手法(物理的抽出法)を提案し,アーチ橋の常時微動シミュレーションより,高精度且つ自動的な振動数自動推定を可能とすることを確認した. 2.超高精度構造同定システムの開発 高精度構造同定理論を用いた可搬型の計測システムを開発した.本システムにより,検知器(加速度計)を構造物に設置するだけで,振動数の自動推定が可能となった. 3.損傷構造物模型振動台実験による検証 損傷発生を想定した構造模型を用いて振動台実験を行い,振動数の変化から損傷の逆検出を試みた.システムの損傷検出性能を定量的に評価するために,損傷前後の構造物の振動数変化を意図的に極小とした.その結果,微小な振動数変化の検出が可能であることを確認した. 4.実用化のための実橋適用実験 システムの実用性を検討する為に,供用中の歩道橋(斜張橋)を対象とした自動計測実験を実施した.計測器を設置するだけで構造物振動数の自動的検出が可能であることを確認した. 5.今後の展開 平成15〜17年度の研究助成(基盤研究(B)(2))により,本システムを基礎とする構造同定ロボットを開発し,橋梁維持管理実現のための長期変状モニタリングシステムの確立を目指す.また実橋での長期観測を行い,システムの完成度を高める.
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