配分額 *注記 |
8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2001年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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研究概要 |
本研究ではこれまでの定性的模型実験の上に立って、比較的大型の模型実験、室内土質試験、さらに遠心模型実験を実施する米国カリフォルニア大学との共同研究により、以下の主な成果が得られた。 1)室内1G振動台実験:透明土槽に厚さ0.8m程度の飽和砂斜面による振動台実験をおこなって、種々の斜面形状を対象とし、水膜の発達過程・斜面の変位量、間隙水圧を測定した。その結果(1)傾斜地盤に低透水シームを円弧状に挟み込んだ実験から,水膜現象により振動終了後に低透水シームより上部で再流動が生じることが,種々の実験条件の違いに関わらず確認された.(2)円弧シルトシーム直下での間隙水圧の測定値は振動終了から数秒後に上昇してしばらくの間最大値をとる.この間にシルトシーム直下をすべり面とした再流動が生じており,水膜の生成と深く関わっている.(3)流動時のエネルギー的検討から水膜に沿ったせん断抵抗が均質砂の20%程度にまで減少していることが分かった.また,この低減割合は砂の相対密度,模型地盤の大きさ,シルトの塑性の有無などによらずほぼ一定である.(4)せん断抵抗が完全にゼロにならない理由として,水膜の厚さとすべり面の平坦度との関係などによってすべり土塊が水膜によって完全には切り離されてはいない可能性が考えられる. 2)室内1次元模型実験:原位置での層状不均質性をモデル化した複数の低透水性層を含む地盤を1次元円筒土槽内に作成し、液状化時の水膜の生成と沈下プロセスの測定と数値解析により、原地盤の定量的解析法につなげた。 3)室内中空ねじりせん断実験:シルトを挟んだ層状砂の供試体により初期せん断応力が働いている状態で、非排水繰り返しせん断試験を行い、シルト層下の水膜の生成とそれに沿っての流動のメカニズムを定量的に検討し、砂の相対密度が40%を下回る場合には初期せん断応力の代償にかかわらず液状化後直ちに水膜による流動が発生することを明らかにした。 4)海外との共同研究について:University of California, DavisのCivil and Environmental Engineering DepartmentのProf.Kutter、Prof.Boulangerと年に1回程度の打ち合わせや本学の院生の長期派遣により、実験条件等の詳細の対比、本学での1G場と先方の遠心場での実験結果の対比を行い、水膜現象の発生条件の基本的な一致度を確認できた。
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