研究概要 |
昨年度までに観測によって得た潮汐と気圧の変動による海水面の変動,界面重力波,吹送流,流量などの相互関係をもとに,特に重要と思われる気圧,潮汐,風向,風速の4つの要因による流量変動の検討を行なった.その結果,以下の諸点が明らかになった. 1)潮汐による河川水位の上昇量は,少なくともKP26.6より下流では地点によらず潮汐に一致する. 2)気圧と海面水位偏差の間には完全な負の相関があり両者間には経験式が成立する. 3)河道の上流方向の風が卓越してくると,無風時と比較して水位が河口から少なくともKP26.6kmにかけて漸増する.また,その増加傾向は波動の形で下流から上流に伝播する.これとは逆に,下流向きの風が卓越してくると無風時より水面勾配が平坦化する.この原因は下記6)による. 4)過去の観測データから無風状態下での水位データを抽出し,海域水位を引き去った結果を種々の河川流量について調べる事により純粋に流量と水位の関係を示す経験則を得た.その結果,水位の時間変化が急変しない,ごく一般的なある期間については以下の様に,従来の200%に及ぶ不確かさとは相違してかなり精度が向上することが分かった:地点KP26.6における予測流量218m^3/s(270m^3/s),感潮域外のKP44.5kmにおける実測流量237m^3/s(220m^3/S).なお,括弧内数値は別の期間における例である.いずれも,従前よりは格段に精度が向上している. 5)河川表面水位は風向が河川の流下方向の場合,河川水が,およそKP10k〜KP30kmの区間で加速され無風時より低下する,同時に塩水楔の上流部は吸上げられる.また,風向が河川の流下方向の場合,河川水が,およそKP10k〜KP30kmの区間で減速され無風時より上昇する.同時に塩水楔の上流部は押し下げられる. 6)今後,さらにH=Q式の精度を向上させるためには上記5)の現象について検討すべきである.
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