研究概要 |
Xバンドレーダシステムと係留ビデオシステムを用い,砕波帯の波浪場と地形を観測した。観測は茨城県波崎町にある港湾空港技術研究所の観測桟橋HORSにて実施した. 先ず,レーダシステムと地上に設置したビデオシステムを併用した観測を行い,波打ち際のレーダエコー画像とビデオ画像を比較した.その結果,レーダエコーは個々の波の遡上と遡上高さを2m程度の誤差の範囲で捉えていることを確認した.また,水位計の計測結果とレーダエコーデータ時系列を比較し,エコーデータが個々の波の伝播状況を捉えていることを確認した.以上より,レーダが伝播する波,遡上際における波の挙動を捉え得ることを確認した. エコーデータを平均化した画像から,汀線位置と前浜勾配の沿岸分布を計測できることを,深浅測量データと平均エコーデータとの比較から示した.沿岸方向の約2-6kmの範囲の汀線位置,前浜勾配を1年間にわたりモニタリングした.低エネルギーの期間に汀線付近の地形が複雑化し,高エネルギー状態時にこれが均一化され汀線が直線化される状況を捉えた. 2002年7月に観測桟橋の沖合を通過した台風6号の観測を行った.データ取得は台風の接近から通過まで,約20時間連続的に実施した.この間,桟橋の波高計は台風最接近時に有義周期7s,有義波高2.5mを記録した.高波浪の継続時間が短かったために,エコー画像から求めた汀線形状に顕著な変化はなかった.PIV的な手法により波浪の伝播状況を調べ,波向と波速の分布を推定した.波速分布から海底地形を推定し,バー位置の沿岸分布を概ね捉えた.個々の波の遡上状況を調べ,遡上高が相対的に大きくなる領域が沿岸方向に伝播する状況を捉え,これがエッジ波の分散関係式を満たすことを示した.
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