研究概要 |
交通工学・計画の一層の高度化に向けて,道路上の車両動態に関する,広域を対象とした詳細かつ効率的な観測手法が要請されている.車両動態の詳細を把握するための最も適した方法のひとつに,高度から撮影された動画像による計測が考えられる.現在,ヘリコプター等の特定地点に滞空可能なプラットフォームから,高高度撮影動画像の取得が可能であり,更に,地上20km程度の成層圏に無人飛行船を静止させ,地上観測を行うという成層圏プラットフォーム構想が推進され,その実現が期待されている.このように,今後,従来の人工衛星画像よりもはるかに空間分解能の高い画像による定点観測が可能となる,これらの高高度からの観測は,効率的に,広域かつ正確な車両挙動データの取得を実現させる. 本研究は高度撮影画像を用いた車両動態の詳細を認識する手法の構築を目的とする.具体的には,時空間画像において背景差分値,オプティカルフローの情報,かつ,車両挙動の連続性,車両形状を考慮した時空間クラスタリングに基づく車両動態認識手法を構築し,その適用可能性を検討した. しかし,実際に適用する際には,煩雑なパラメータ調整や実空間での車両軌跡等の情報が必要となり,これまでの画像解析のみでは対応できない.そこで,本研究では,提案手法の実用化に向けた簡便なパラメータ調整法,及び認識された車両位置の実空間座標化の枠組みもあわせて構築することを目的とする.本研究では,車両は道路上を走行することに着目し,単ビデオカメラでも実空間での車両位置同定が可能となる枠組みを構築した. 航空HDTV画像(空間分解能10cm,30cm,時間分解能1/30秒)に対し提案手法を適用し,提案する車両動態認識手法の有効性を確認した.
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