配分額 *注記 |
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2001年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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研究概要 |
これまで鋼構造部材の最小板厚は,発錆後の耐力低下が懸念されたため2.3mmに制限されてきたが,発錆を防ぐ表面処理技術の進歩や,建築基準法の改訂に伴い,板厚2.3mm未満の薄鋼板を用いた経済的な建築構造への要望が大きくなってきている.しかし,薄板構造の力学特性は,この構造に特有のゆがみ座屈に支配されるため,軽量鉄骨構造の力学特性とは大きく異なっており,軽量鉄骨の耐力評価式を用いると,部材性能を過小評価したり,過大評価したりする場合がある.そこで,本研究ば,板厚1.0mmの薄板軽量リップ付溝形鋼短柱の中心圧縮実験を行ない,その実験結果を基に降伏線理論を用いて解析を行なった.また,引張側フランジを構造用合板(面材)で拘束した板厚1.2mmの薄板軽量リップ付溝形鋼の負曲げ実験を行ない,発生する座屈特性を明らかにすると共に耐力評価法について考察を行なった.得られた知見を以下に示す. I.圧縮実験 局部座屈は板要素の影響だけでなく,隣接する板要素の影響を受ける.特にフランジ板要素はリップ長によって局部座屈強度が変る. ゆがみ座屈型崩壊モデルではリップをフランジの一部として考えることにより実験の破壊性状に類似でき,またゆがみ座屈で破壊した試験体の最大耐力もほぼ評価できる. II.曲げ実験 実験で観察された局部座屈,フランジゆがみ座屈およびウェブゆがみ座屈の3種類の各座屈は相互に連成しながら発生・成長するが,横補剛間隔が短い場合にはフランジゆがみ座屈が支配的になり,長い場合にはウェブゆがみ座屈が支配的であった.ゆがみ座屈強度は,形鋼せいが高いほど,横補剛間隔が長いほど小さくなる傾向が見られた. 有限帯板要素法により,ゆがみ座屈の出現を適切に考慮して弾性座屈強度を求め,それに基づいて座屈耐力評価を行なった場合には,計算耐力と実験結果は良好な対応を示すことが確認できた.
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