研究分担者 |
岸田 慎司 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10322348)
山村 一繁 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30220437)
北山 和宏 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70204922)
白都 滋 東急建設, 技術研究所, 主任研究員
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研究概要 |
鉄筋コンクリート骨組内の柱と梁との交差部(柱・梁接合部)には,三方向外力によって複雑な応力が作用する.この柱・梁接合部の破壊機構として,コアコンクリートの圧壊によるせん断破壊や斜めひび割れの開口による曲げ破壊などが提案されているが未だに定説を得ていない.そこで本研究では接合部内を通し配筋される主筋の付着性能と試験体形状とに注目して,(a)柱幅と梁幅とを同一とした平面柱・梁接合部に正負交番繰り返し載荷あるいは一方向単調載荷する実験(初年度),および(b)立体柱・梁接合部試験体に二方向水平力を正負交番繰り返し載荷する実験(二年度),を実施して柱・梁接合部パネル内のせん断抵抗機構を検討した.以上の実験結果を詳細に検討することによって以下の知見を得た.1)平面十字形柱・梁接合部のせん断破壊は、梁主筋あるいは柱主筋に沿った付着の劣化によって水平あるいは鉛直接合部入力せん断力が低下することにより引き起こされ,同時に層せん断力が低下した.2)接合部入力せん断力を求める際には,危険断面におけるコンクリート圧縮力の分布を考慮することが必要であり,接合部パネル中央付近で圧縮力がお互いに打ち消し合う場合にはこの圧縮力を除去すべきである.3)梁が四方から貫入する立体柱・梁接合部のせん断強度は主筋の付着を絶縁することによって,付着良好の場合と比較して25%低下した.4)梁が三方から貫入する立体柱・梁接合部では,最大強度後のせん断耐力の低下が顕著に生じた.梁の取り付かない面での接合部破壊が進行したためと考えられる.5)接合部内横補強筋のひずみや柱主筋のひずみなどの実験結果から,柱・梁接合部周辺の応力状態の違いが接合部内部の立体的な応力の流れに影響を与えることを指摘した. 以上の成果をもとに立体柱・梁接合部の力学特性や破壊性状を再現できる立体的なマクロ・モデルを提案した.このモデルを用いて,立体柱・梁接合部への入力せん断力と層せん断力との関係を検討した.提案したマクロ・モデルの精度や有用性に対する検証は今後の課題である.
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