研究概要 |
1951年〜2000年の台風記録を収集し、年間発生数、中心気圧低下量、台風移動速度、最大旋衡風速半径等のパラメータを統計的に整理し、日本の約150カ所の気象官署毎の台風シミュレーションモデルを作成した。台風記録および気象観測記録を整理し、台風経路情報から1時間(または6時間)毎の台風中心位置を算定し、台風シミュレーションモデルによる各気象官署位置での風向、風速を算出し、同時刻の風向、風速観測記録との間の相関を求めた。台風シミュレーションのためのパラメータ導出に当たっては,固有直交関数展開の手法を併用している。全国の気象官署に対して台風シミュレーションを実施し,Friction Free Windの算出を行った。次いで,台風場の客観解析結果,風向・風速2変量相関表,地表面粗度による風速増減率などの成果を基に,台風シミュレーションによる気象官署でのFriction Free Windを,地表付近での風向・風速値に確率統計的に換算し,日本全国でのバーチャルな台風観測記録を発生させた。このバーチャルな台風観測記録に基づき,各気象官署について極値解析を行い,台風による強風の風向別発生確率等の情報を得た。非台風に関しては,日最大風速記録に基づいて、修正Jensen-Franck法により各気象官署における風向別再現期間値を求めた。風向別地表面粗度の年変化の算出に当たっては,気象観測記録の疑似ガストファクターに基づく手法を採用している。台風,非台風による強風の結合確率を算出して,気象官署における風向別風速の再現期間値を算定した。さらに,荷重効果の100年再現期間値と等価な荷重効果に基づく風向係数算出法も検討した。以上の成果を総合的に評価して,風向別設計風速の算定手法を提案し,各気象官署での風向係数,および日本全国の風向別,成因別,再現期間風速マップを算出した。
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