配分額 *注記 |
14,100千円 (直接経費: 14,100千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
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研究概要 |
骨と直接結合する性質(生体活性)と、骨に近い力学的性質を併せ示す新素材が求められている。本研究課題では,セラミックスの生体活性発現機構に基づいて,有機-無機ハイブリツドを合成し,その微構造,生体活性ならびに力学的性質に影響を及ぼす因子を基礎的に追究した。まず親水性高分子を与える2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)に,シラノール基を供給する3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPS)とカルシウムイオンを供給する塩化カルシウムをハイブリッド化したHEMA-MPS-CaCl_2系ハイブリッドについて研究を行った。塩化カルシウムの添加量,合成過程における触媒の添加によりハイブリッドの生体活性が制御できることが明らかになった。さらに,この系において生体活性とヒトの関節軟骨と同等な弾性率および破断ひずみを併せ示す材料が得られる可能性が明らかとなった。次に,これら結果に基づいて,種々の有機高分子にシラノール基およびカルシウムイオンの導入を行い,得られたハイブリッドの生体活性を評価した。メチルメタクリレート(MMA),MPSおよび水溶性カルシウム塩をハイブリッド化すれば臨床で利用されているポリメチルメタクリレート(PMMA)系骨セメントへの生体活性の付与が可能であることが分かった。さらに多糖からなる生体吸収性高分子であるアルギン酸にも,シラノール基とカルシウムイオンを導入すれば,得られた材料は生体活性を示し得ることが明らかとなった。これらの結果より,シラノール基とカルシウムイオンを導入すれば,様々な有機高分子に生体活性を付与できることが明らかになり,その生体活性および力学的性質は,高分子の種類,カルシウムイオンの導入法,合成条件などにより制御できることが明らかになった。
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