配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2001年度: 4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
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研究概要 |
酸化反応により誘起される表面圧縮応力を利用した高靭性化および高強度化と酸化層の自己再生機能を提案した。分散質NiAlから理論密度が小さいNiAl_2O_4を生成する酸化反応の体積膨張は高靭性と高強度をもたらす表面圧縮応力に変換できる。まず,母材NiAl/Al_2O_3複合材料の作製プロセスを確立した。このプロセスでは,マトリックス成分としてのAl_2O_3を分散した水/メタノール溶液中で沈殿させた(Ni,Al)-ヒドラジノ安息香酸前駆体から大気中1280℃でAl_2O_3粒子でくるまれた球状の微細NiAl粒子を得る。この複合粉末は1600℃で無加圧焼結できた。母材複合材料中のNiAl粒は,大気中1200℃以上でNiAl_2O_4とNiOに酸化された。酸化生成物のひとつであるNiOはマトリックス・アルミナの粒界に沿って拡散して粒界成分のAl_2O_3と反応し,表面の薄いフィルム状酸化層の下にAl_2O_3とNiAl_2O_4からなる20-50μmの変質層を形成し,変質層には最大-128MPaの圧縮応力が発生することを明らかにした。表面のフィルム状組織の発達は14350℃以下ではあまり生じなかったが,1400℃では急激に顕著になった。変質層の発達はNiAlの添加量と酸化処理温度によって制御できた。10vol%NiAl/Al_2O_3複合材料の強度と破壊靭性値,530MPaと4MPa・m^<1/2>,は酸化処理によって660MPaと8MPa・m^<1/2>まで改善できた。自己再生機能については,人工欠陥を導入後,表面を除去した材料の再酸化処理によって,特性に劣化を招かずに表面層が再生することを示した。また,酸化生成物の速い拡散を利用して材料表面のビッカース圧痕と圧痕先端から進展したクラックからなる人工欠陥を充填し,かつ,強度を回復できることを明らかにした。表面酸化反応を利用したこれらの知的な機能と高靭性化および高強度化はセラミックス基複合材料の信頼性の向上に寄与できると期待できる。
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