配分額 *注記 |
14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
2001年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
|
研究概要 |
本研究の前半では純CuおよびCu合金の,後半では純Alのそれぞれ単結晶を用いた疲労試験を行い,転位組織形成過程を調査した.CuもAlも同じfcc結晶であるが,これらの疲労挙動には顕著な相違が見られた.すなわち,塑性ひずみ振幅一定での繰り返し変形試験において,前者では加工硬化の後飽和に至るのに対し,後者では,加工硬化の後軟化する.純Cuでは特徴的な転位組織としてPSB ladder組織やセル組織が形成されるが,純AlではPSB ladder組織の形成は起こらずに,いわゆるlabyrinth組織やセル組織の形成が見られた.詳細な実験により,Cu合金とAlでの疲労挙動と転位組織の相違は,積層欠陥エネルギーの相違に由来する交差すべりの難易によるものであることが明らかとなった.さらに,Cu中に微小なFe粒子を析出させた合金での実験結果から,微小Fe粒子は疲労転位組織の発達を遅滞させる効果を持つことを見出し,粒子の大きさと分布状態に依存して異なる転位組織が形成されることを明示する転位組織図を構築・提唱することができた. 疲労によって生成した転位組織は,たとえば一方向圧延で生じた転位組織より熱的にも機械的にも安定で,転位の繰り返し往復運動の結果,蓄積エネルギーが小さな組織となっていること,また,Alに微量のMgを添加して積層欠陥エネルギーを小さくした試料では,純Alとは異なり,疲労挙動も転位組織も純Cu型に近くなること,などの興味ある事実も発見できた. 以上のように,本研究によって,fcc金属の疲労挙動と転位組織発達過程との関係が非常に見通しよく明らかとなったと共に,転位組織形成に及ぼす第2相の効果や転位組織の安定性について,材料のライフアセスメント評価にとって重要な今までにない数多くの新しい知見を得ることができた.
|