配分額 *注記 |
15,100千円 (直接経費: 15,100千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2003年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2001年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
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研究概要 |
熱脱離および光励起脱離の測定を行うための装置を設計製作した。本装置は,レーザー光を試料に照射する4種の入射窓(照射角:0〜60°),脱離種の測定角を可変とするXYZθ試料ステージ(測定角:0〜80°),time-of-flight兼用四重極質量分析装置,1400℃までの試料加熱機構を備えている。試料表面を改質するドース機構には,ガス導入管の一部を高温のタングステン管とすることにより気体分子を輸送中に熱解離させる熱クラッキングを採用した。これにより,試料加熱による熱解離を利用した,もしくは,熱クラッキング部で生成した原子フラックスを用いた,試料表面の終端原子の任意操作を可能としている。 この熱脱離光脱離用超高真空装置を用いて,1300Kに加熱した試料表面での重水素分子の熱解離により,試料表面のダングリングボンドを重水素により終端する処理を行った。水素終端試料から熱脱離する水素分子の質量スペクトル測定を行い,熱脱離測定によって試料表面の終端構造を確認した。 熱脱離測定により得られた知見を基に,ダイヤモンド結晶のH終端表面からのH2,O終端面からのCO, CO2等を対象として,現有のNd:YAGレーザー(基本波から4倍波までのパルスレーザー)を用いた光励起脱離スペクトルを測定した。物理吸着したH2OやCOなどが十分に脱離可能な200℃まで試料を加熱・保持した後,波長及びエネルギー密度を変えてレーザーを照射した。基本波,2倍波,3倍波の場合には,いずれも脱離スペクトルが観測されなかったが,4倍波の場合には脱離スペクトルが観測された。この場合でも,表面の結合手の光反応による脱離ではなく,ダイヤモンドのバルク内の欠陥が4倍波の紫外線を吸収し,結晶全体が加熱して熱脱離がおこっているものと思われる。
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