研究概要 |
我々が世界で初めて完成させた表面分析装置内における任意固体間の凝着力計測システムを利用し,厳密な可逆接合の可能性について,実験的・理論的検討を行った. 超高真空の表面分析装置内における固体間凝着力計測システムに組み込むことのできる,超高真空対応の変位・荷重制御システムを設計・試作した.ピエゾ素子を用いることにより,従来出来なかった荷重及び変位の制御が可能であるようなシステムとなった.さらに,それを制御する為にVisualC++を用いて,汎用性の高い制御プログラムを作成した.固体間凝着力が発生する系で弾性変形領域で凝着実験を行い,凝着力の発生を確認した後,オージェ電子分光法にて固体表面を分析したが,"こびりつき"は観測されなかった.塑性変形領域で凝着実験を繰り返したのち,オージェ電子分光法にて固体表面を分析した場合は,"こびりつき"が観測され,厳密な可逆過程の可能性が示唆された.理論的な面では凝着力を利用した可逆接合による接合面の強度をみつもった.弾性連続体の半無限固体と正弦波状の凹凸をもつ剛体の接触の際に,接触領域の面積,界面における応力分布,全系のエネルギーを外部応力の関数としてあらわした.将来の分子力学近似による検討のためのポテンシャルとして修正埋め込み原子法(EAM)が有効であることを明らかにした.従来のEAMの表面やクラスターに対する問題点を克服する方法について検討した.新しい二量体参照と言う概念を導入する事で,大規模系への適応性を高めたEAMを提案した.高剛性化した力計測メカニズムの検討も行った.無次元化剛性で従来で一番剛性の高いシステムを構築する事ができた.それを用いた固体間凝着力計測によりフォースカーブを計測し,我々が構築してきた理論を用いて解釈する事ができた.
|