研究概要 |
エンジニアリングプラスチック(PPS, PPOなど)の工業的製法は,PPOの場合,重合溶媒としてトルエン,触媒に銅ジアミン錯体を用い,酸素を吹き込みながら重合(酸化カップリング反応)しているが,トルエンと酸素の混合による爆発性ガス生成,製品コストに占める重合溶剤回収コストの大きさなどが課題とされている.このような背景から,本研究では,超臨界CO_2中でのPPOの重合法の確立を最終目標としている. 昨年度は、超臨界CO2を溶媒として用いたPPOの合成(<Mw>^^^-≒10,000)可能性を示すこと、しかし、超臨界CO2がPPOに対して貧溶媒であることから、反応途中で生長ポリマー鎖が析出してしまうことを明らかにした。その結果、工業上有用される高分子量PPO(<Mw>^^^-≧40,000〜)の合成に更なる工夫が必要で、本年度はその検討を中心に行った。 超臨界CO2はPPOに対して貧溶媒であるが、同じように貧溶媒であるメタノールなどと異なりPPOに溶解してPPOを大きく膨潤・可塑化するといったことが知られている。昨年度までの研究でも、この現象が原因で生長ポリマー鎖の析出後にも分子量の増加が見られた。つまり、超臨界CO2中において生成ポリマーの高分子量化を行うためには、PPOの膨潤・可塑化が重要であると考え、実際に、生長ポリマー鎖の析出後にPPOの膨潤・可塑化を目的とした実験条件の制御を行った。その結果、比較的高分子量のPPO(<Mw>^^^-≒20,000)を合成することが出来た。 現時点としては、より高分子量のPPOを合成するための最適実験条件の探索を行うとともに、その実験条件下で効果的に合成が可能である新規プロセスの提案を行っていくことによって工業化への可能性を追求していきたいと考えている。
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