研究課題/領域番号 |
13450351
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
工業物理化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中谷 和彦 京都大学, 工学研究科, 助教授 (70237303)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
2002年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
2001年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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キーワード | 電子移動 / DNA / シクロプロピルグアニン / ラジカルカチオン / ホール検出手法 / ラジカルカオチン |
研究概要 |
ホール移動に比べて十分に速い分解過程を持つホールトラップヌクレオシドがあれば、ホール移動の速度論的研究に大きな役割を果たすことが期待された。ラジカルクロックとして有名なシクロプロピルメチルラジカルの開環反応に注目し、グアニンのN2-アミノ酸にシクロプロピル基を導入したシクロプロピルグアニン(d^<CP>G)が、ホールトラップヌクレオシドとして機能するのではないかと考えた。d^<CP>Gラジカルカチオンを分子軌道法により構造を最適化して、スピン密度の分布を調べたところ、プリン環上だけでなくシクロプロピル環上のC2"にもスピンが分布していることが示された。C2"のスピンは、その軌道がC1"-C2"結合軸とほぼ同じ向きにありプリン環上のスピンの軌道とは直交している。このことから、d^<CP>Gラジカルカチオンではシクロプロパン環がホモリシスしてC2"位にラジカルが生成しやすいことを示唆するものと考えた。 d^<CP>Gは2-フルオロイノシンへのシクロプロピルアミンの付加脱離反応によりを合成した。d^<CP>Gを含むのDNAの合成は、2-フルオロイノシンへのシクロプロピルアミンの付加脱離反応をDNAオリゴマー上で行うポスト合成法により行った。まず最初に、d^<CP>Gのリボフラビンによる光誘起一電子酸化反応を調べたところ、d^<CP>Gは速やかに消失し生成物としてdGと共に3-hydorxypropanoly-dGが得られた。この結果はd^<CP>Gラジカルカチオンのホモリシスによるシクロプロパン環の開環を強く示唆した。 d^<CP>Gを含むDNAオリゴマーを用いて、ホール移動の捕捉実験を行った。G8からG15Gへホール移動出来る配列を用い、途中の配列の塩基を、dG、d^<CP>Gとd^<CP>Gの対照化合物として選んだN2-メチルグアニン(d^<Me>G)に変え、ホール移動効率を比較した。dGとd^<Me>GではG_<15>Gの切断バンド強度に大きな違いは無かったが、d^<CP>Gを導入したオリゴマーではG_<15>Gでの切断バンドはほとんど検出できなかった。我々の得た結果は、全てd^<CP>Gが一電子酸化されると速やかにシクロプロパン環がホモリシスする事を示しており、この反応によりDNA中でのホール移動を完全に抑えることが出来たものと考えている。
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