配分額 *注記 |
14,200千円 (直接経費: 14,200千円)
2003年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2002年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2001年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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研究概要 |
タングステン窒素錯体とルテニウム分子状水素錯体との反応により、温和な条件下でアンモニアを合成する我々の見出した反応は、化学量論的な反応ではあるが世界的に脚光を浴びている。 我々は、窒素分子と水素分子を同時に活性化できると考えられる後周期遷移金属錯体に着目し、金属錯体上で活性化した窒素分子のプロトン化と還元に水素分子を利用する窒素固定触媒サイクルの開発を目的として検討を行った。ジアミド-チオエーテル(NSN型)、ジアミド-ホスフィン(NPN型)およびジアミド-アミン(NNN型)3座配位子を設計し、これらを配位子として有する種々の後周期遷移金属錯体の合成を行い、その反応性について検討した。今のところ窒素配位錯体は単離されていないが、[Ru(NSN)(PMe_3)_2(N≡N)]が生成していることが推測されている。分子状窒素の触媒的な活性化には至っていないが、窒素分子と等電子構造を有するベンゾニトリルの水素化には成功しており、今後の発展が期待される。 一方、窒素固定酵素の活性部位が金属-硫黄クラスターであることに着目して、精密に構造制御された複数の金属と硫黄からなる金属反応場の開発を検討した。[Mo_3MS_4](M=Ru,Rh,Ni,Pd,Pt)キュバン型クラスターをはじめ、種々のクラスターを合成し、その反応性を明らかにした。[Mo_3RuS_4]型クラスターのRu上に分子状窒素の配位した錯体は得られなかったが、(Cp^*Mo)_3(μ_3-S)_4RuH_2(PAr_3)](Ar=Ph,p-tolyl)と窒素固定関連基質であるヒドラジンを反応させるとヒドラジンの不均化が起こり、アンモニアと窒素が生成すること、[Mo_3NiS_4]型クラスターがNi単核錯体触媒では進行しない1-ペンチン酸の分子内環化反応によるエノールラクトンの生成反応に高い触媒活性を示すこと、また、[Mo_3MS_4]型クラスター(M=Pel, Ru)がアミノアルキンの分子内ヒドロアミノ化反応に対して単核錯体を上回る触媒活性を示すことを明らかにした。
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