配分額 *注記 |
12,500千円 (直接経費: 12,500千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
|
研究概要 |
栽培イネにはOryza sativaとO. glaberrimaの2種が知られ,野生種O. rufipogonとO. barthiiをそれぞれの祖先種とするのが定説になっている.本研究ではイネの種子脱落に関与する遺伝子(脱粒性遺伝子)のひとつであるShattering 3 (Sh3)遺伝子に焦点を当てて,2種の栽培種の非脱粒化(栽培化)機構を探ることを目的とし,(1)脱粒性遺伝子Sh3の単離・同定,(2)栽培イネにおける非脱粒化機構の解明の2項目からなる研究を行った. (1)に関しては,高精度連鎖解析によりSh3の領域を約5kbに絞り込み,一つのORFを候補として実験を進めたが,Sh3はそれとは異なるようであった.そのため,高精度連鎖解析の結果を再検討し,実験を進めている. (2)では,供試した全ての野生イネがSh3を保持していることを確認した.また,O. glaberrimaは機能のあるSh3を保持しているが,Sh3に密接に連鎖する劣性のsh9(iSh3)を保持しており,sh9ホモ個体は,Sh3の存在にもかかわらず非脱粒であった.Sh3とsh9の高精度連鎖解析により,両者は異なる遺伝子座であることがわかった.また,上記(1)におけるORFではO. glaberrimaにおいて翻訳終了前に終止コドンが出現する可能性が示唆され,Sh9の重要な候補として解析を進めている. 以上,本研究では,Sh3の機能喪失がO. sativaの成立に深く関与したこと,O. glaberrimaは非脱粒性であるが,機能のあるSh3を保持していること,およびsh9の機能喪失がO. glaberrimaの非脱粒化に関与した可能性があることを明らかにした.今後はSh3およびSh9の単離・同定を完了させ,塩基配列レベルでイネの栽培種成立機構の解明をめざす.
|