研究課題/領域番号 |
13460034
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
神尾 好是 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00109175)
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研究分担者 |
樋口 秀男 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90165093)
金子 淳 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30221188)
冨田 敏夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (00126129)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
17,500千円 (直接経費: 17,500千円)
2002年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
2001年度: 10,600千円 (直接経費: 10,600千円)
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キーワード | Staphylococcus aureus / 膜孔形成毒素 / γ-hemolysin / ブドウ球菌毒素 / 1分子イメージング / 毒素成分集合 / leukocidin / 膜孔形成 |
研究概要 |
黄色ブドウ球菌が人間を含む動物に重篤な疾患を引き起こす原因は、MRSAなどの多剤耐性菌の出現、並びに細胞崩壊毒素による宿主細胞の崩壊にある。黄色ブドウ球菌はシステイン残基を持たない2成分蛋白質から成る白血球崩壊毒素ロイコシジン(LukFとLukS蛋白質から成る)並びに赤血球崩壊毒素γヘモリジン(LukFとHlg2蛋白質から成る)を大量に産生する。先に研究代表者等は米国コロンビア大学・Eric Gouaux博士との共同研究でLukFの3次元構造を解析し、水可溶性モノマーとして分泌される毒素成分が標的細胞膜上で水不溶性分子へ構造変化を起こす機構を解明した。LukFの結晶3次元構造解析の成果は、膜孔の精密構造解析を可能にしたばかりでなく、毒素2成分のそれぞれへの立体構造を考慮した1システイン残基の導入変異株並びにシステイン残基へのドナー/アクセプター蛍光色素(TRM/IC5)標識誘導体の作製を可能にした。本研究では、モーター分子の運動メカニズムの解明に多大な貢献をした、世界に類をみない独創的技術である「1分子測定技術」を駆使して、標的細胞膜上で起こる時々刻々の構造変化を可視化追跡し、毒素2成分の標的細胞間及び毒素成分間のナノレベルでの相互作用、膜孔形成過程、並びに『超チャネル』形成機序の全貌を解明した。2成分から構成されるヘテロ7量体膜孔超分子の発見は世界初であると共に、本膜孔形成過程の追跡は2成分毒素であるからこそ可能であり、1成分から成る7量体膜孔毒素αヘモリジンでは決して解明できない、極めて独創的で世界に類を見ない研究成果を樹立した。 本研究の成果は本毒素にとどまらず、広く生物由来の膜孔毒素の作用機構に新概念を植え付ける重要なものとなるばかりでなく、細胞膜上における水可溶性蛋白質分子のダイナミックな構造変化を伴う不溶性膜孔『超チャネル』形成機構の理解に大きな示唆を与え、"膜における蛋白質のナノ構造の変化を1分子で追跡する"新研究分野の創設となった。
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