配分額 *注記 |
12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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研究概要 |
マツノザイセンチュウの5つのmicrosatellite遺伝子座を見出した。そのうちの4つは多型であった。マツノザイセンチュウの個体群構造の解析に4つのmicrosatellite遺伝子座は有効であることが示された。材線虫病の流行末期のアカマツ林で,マツノザイセンチュウ個体群の遺伝的多様性と毒性レベルの時間的変化を3年に渡って調査した。その結果,対立遺伝子頻度は大きく変化したが,遺伝子座あたりの対立遺伝子数に大きな変化はなかった。個体群全体の遺伝的多様度は大きく変化しなかったが,個々の枯死木内や媒介昆虫内の個体群の遺伝的多様度が低下したために,それらの間の遺伝的分化が次第に大きくなった。このような遺伝的変化は毒性の変化を伴わなかった。重複感染を許す場合の毒性の進化理論は有性生殖を仮定していない。マツノザイセンチュウは有性生殖をする。そこで,強毒性と弱毒性のアイソレイトを同数同時にクロマツに接種した。枯れたクロマツの中では強毒性アイソレイト特異的な対立遺伝子の頻度が弱毒性アイソレイトのそれよりも大きく,強毒性アイソレイトの増殖率が高いことが示された。つまり,毒性の進化理論の仮定を2倍体の病原体も満足していることが示された。また,接種前の2アイソレイトにはなかった対立遺伝子がクロマツ枯死後に見られ,遺伝的変異の増加も示された。このことは毒性の多様性を高めると考えられた。しかしながら,3年間の野外実験は,毒性の異なる2アイソレイトの接種による毒性の増加を示さなかった。マツノザイセンチュウとニセマツノザイセンチュウの種特異的なPCR反応によって塩基対数の異なる反応生成物を得ることが出来た。この方法によって2種を簡単に識別できた。材線虫病に対する松の感受性は水ストレスの影響を受ける。マツノザイセンチュウの感染前後の水ストレスの解消によって枯死を免れることがあるが,それは大変まれであることが分かった。
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