配分額 *注記 |
12,500千円 (直接経費: 12,500千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2001年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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研究概要 |
本研究では非天然型の構造を有するグリセロ脂質(リン脂質,糖脂質,トリアシルグリセロール)海洋生物における分布,生合成,生物機能を解明することを目的として行われたものである。得られた成果は以下のように要約される。 (1)非天然型グリセロ脂質を分析するためのキラルHPLC,逆相HPLC及びHPLC/質量分析法(ESI/MS)を確立した。 (2)海洋細菌と好熱性細菌を含む約70種の細菌のリン脂質を本研究で開発した方法を用いて分析した結果,約70%の菌株から,非天然型(R, R)配置の構造を有するホスファチジルグリセロール(PG)が検出され(総PG中1〜15%の割合で存在),R, R型PGが細菌に広く分布することが明らかとなった。 (3)非天然型PGの立体構造に及ぼす培養温度の影響を検討した結果,温度の上昇につれて,R, R型PGの割合は著しく増加することを突き止めた。このことから,細菌はPGの脂肪酸組成ばかりでなく,PGの立体構造をも変えて環境の変化に適応していることが明確となった。 (4)PG異性体の合成に関わる酵素(ホスホリパーゼD)の立体特異性を明らかにした。 (5)逆相HPLC/ESI-MSを駆使して,グリセロ脂質海中の位置異性体を詳細に検討した結果,海藻(オゴノリなどの紅藻)のグリセロ糖脂質(モノガラクトシルジアシルグリセロール,MGDG)中に,アシル基の結合位置の逆転した異性体(reverse isomers)の存在することを初めて見出した。このことから,MGDGの前駆体である1,2-ジアシルグリセロールは2つの異なる経路で合成されることが明確となった。 (6)魚類や哺乳類のリン脂質からも正常な構造とは異なるreverse isomerが少量検出された。代謝異常や病気との関連性について言及した。
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