研究概要 |
1.片振幅,周波数,分離角および振動方向角が調整可能な揺動選別装置を製作し,アクリル樹脂製選別容器(長さ20cm,奥行2cm,高さ7.5cm)を移送角α=0°で設置した.選別容器の底面には,直径0.9,1.6,2mmのステンレス製円柱棒を12mm間隔でステンレス板に貼り付けた3種類の"実験用選別板"を用いた.質量比1:4の籾と着色した玄米の混合物を選別容器に入れて揺動を与え,選別過程をビデオ撮影した.その画像データから籾と玄米の回収率を求めて,選別状態を定量化した. 2.2つの楕円の接触において,一方を36角形で近似する簡易接触判断法を用いて,揺動選別実験と同一スケールおよび同一選別条件で離散要素シミュレーションが可能なプログラムを開発した.開発された楕円要素モデルは円要素モデルより,分離角による選別状態の変化をよく表現し,有効性が認められた. 3.振動強度が1.2〜1.48では、実験とシミュレーションによる選別状態は比較的良い一致を示したが,1.75〜2.03ではシミュレーション結果は粒子の分散が顕著になって実験結果と異なった.振動方向角30〜50°では,実験とシミュレーションによる選別状態は定性的にも定量的にも良い一致が得られた. 4.分離角15,18,20,22,25°それぞれに対して,窪み深さを0.9,1.6,2mmに変化させた.分離角と窪み深さによる選別状態の変化は,実験とシミュレーションで定性的によく一致した. 5.供給量7種類それぞれに対して窪み深さを0.9,1.6,2mmに変化させた.実験では供給量によって分離状態は変動し,その傾向はどの窪み深さにおいても同様であった.シミュレーションではその変動は再現できなかった. 6.籾と玄米の揺動選別技術の開発において,楕円要素を用いた離散要素シミュレーションは,最適な揺動条件と分離角および選別板窪み深さの検討に関しては有効な情報を提供できる可能性が示された.
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