研究課題/領域番号 |
13460117
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
畜産学・草地学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
金丸 義敬 岐阜大学, 農学部, 教授 (50111795)
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研究分担者 |
長岡 利 岐阜大学, 農学部, 助教授 (50202221)
海老名 卓三郎 宮城県立がんセンター研究所, 免疫部, 部長(研究職)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
17,300千円 (直接経費: 17,300千円)
2003年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2002年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
2001年度: 7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
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キーワード | α-ラクトアルブミン / β-ラクトグロブリン / IEC-6 / アポトーシス / 成長停止 / ヒトロタウィルス / 乳飲みマウス / 下痢の治癒 / 分化誘導 / 細胞感染実験 / 動物感染実験 / α^-ラクトアルブミン / β^-ラクトグロブリン / フォールディング変異体 |
研究概要 |
市販の牛乳α-ラクトアルブミン(α-LA)は、Lot間に顕著な違いが見られたものの、ラット小腸クリプト由来培養腸細胞IEC-6の増殖に対して用量依存的に顕著な阻害作用を示した。この作用は、30分間という短時間の暴露によっても、アポトーシスの誘導を介して不可逆的なかたちで細胞死を引き起こした。こういった細胞死誘導作用は、還元条件下のSDS-PAGEで非解離性の30kDaもしくはそれより大きな分子質量を示すダイマー/オリゴマー分子種含有凝集形態(SDS安定性オリゴマー)のα-LAに認められた。もう一つの主要牛乳乳清蛋白質であるβ-ラクトグログリン(β-LG)の市販標品はIEC-6の増殖に関して促進もしくは阻害の作用を示した。促進作用はネイティブダイマーのβ-LGに起因し、阻害作用は、SDS-PAGEで37kDa及びそれより大きな分子質量を示すSDS安定性オリコゴマーのβ-LGに起因すると考えられた。こういったβ-LGの細胞増殖阻害作用は増殖の一時的停止であった。 ホルスタイン乳牛の常乳から従来法によって調製したネィティブモノマーのα-LAは培養腸細胞の増殖を促進させたが、トリフルオロエタノール(TFE)含有バッファーで処理することによってSDS安定性オリゴマーとした後は細胞死を誘導するようになった。同様に、ネイティブダイマーのβ-LGは培養腸細胞の増殖を有意に促進させたが、同様の処理によってSDS安定性オリゴマー状態とした後は細胞増殖の停止を引き起こした。 ヒトロタウィルス感染後の乳飲みマウスへのネイティブモノマーα-LAの経口投与は感染からの回復を穏やかなかたちで促進させた。一方、SDS安定性オリゴマーのα-LAの経口投与は、下痢症状の一時的な悪化を伴ったが、下痢からの劇的治癒をもたらした。これらの結果は、異なるLotの市販α-LA標品が同様な実験において示した回復に及ぼす影響の違いを説明するかも知れない。 結論として、牛乳乳清の主要蛋白質によるin vitroでの培養腸細胞増殖制御作用は、促進及び阻害のいずれの場合においても、不都合な状態に陥った腸細胞の迅速排除もしくは正常腸細胞の迅速供給による腸組織の速やかな修復を通して、in vivoでの有効な整腸作用につながる可能性がある。
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