研究課題/領域番号 |
13470037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 邦夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90201780)
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研究分担者 |
町出 充 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90346198)
小清水 右一 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50281126)
中村 敏一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00049397)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
2003年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2002年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2001年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | HGF / 再生・修復 / c-Metレセプター / チロシンキナーゼ / 肝再生 / 細胞増殖因子 / 再生医学 / ノックアウトマウス / c-Met / トランスジェニックマウス / 肝細胞 / 細胞接着 / 細胞内シグナル / 恒常性維持 |
研究概要 |
HGFは肝臓をはじめ様々な組織の再生に関与する。HGFは傷害臓器において特異的に生理作用を発揮するが、そのメカニズムは不明である。HGFに対する傷害組織特異的応答能の解明は、正常(無傷性)と傷害の察知から、再生完了の察知に至る臓器再生・恒常性維持機構の解明につながると予想される。本研究はHGFに対する傷害組織特異的応答能の制御に関与すると考えられる、c-Met/HGF受容体シグナル変換能のON⇔OFF制御のメカニズムならびにその生理的意義を明らかにすることを目的とした。 1.c-Met Ser985のリン酸化制御を介した細胞応答性の制御:c-Metのjuxtamembrane Ser985リン酸化とHGFによるc-Metチロシンリン酸化(活性化)は相反的であり、Ser985のリン酸化状態ではHGFによって引き起こされるc-Metチロシンリン酸化能は低下すること、c-Met Ser985はPKCによってリン酸化される一方、PP2Aによって脱リン酸化されること、PKCに依存したSer985のリン酸化が酸化ストレスによって引き起こされるとともに、酸化ストレス下にある培養細胞ではHGFに対する応答能を失っていることを明らかにした。一方、初代培養肝細胞を用いた解析から、Ser985のリン酸化が細胞間接着によって制御されることを明らかにした。 2.遺伝子改変動物を用いたc-Metシグナル変換能の生理的意義の解析:Ser985を含むjuxtamembrane領域の機能を明らかにすべく、juxtamemrnaeを欠くc-Metのみを発現するノックインマウスの作成を進めた。現在まで、ノックインマウス作成用ES細胞を樹立し、キメラマウスの作成まで完了した。 3.傷害臓器特異的c-Met/HGFレセプターの活性化とc-Met Ser985リン酸化制御:マウスにCCl4を投与し肝傷害を引き起こすと、投与後24時間をピークに肝臓でのc-Metのチロシンリン酸化が認められたのに対して、無傷組織においてはc-Metのチロシンリン酸化は認められなかった。正常(無傷)の肝臓においてc-Met Ser985はリン酸化されているものの、CCl4投与後24-48時間に脱リン酸化され、c-Metチロシンリン酸化はin vivoにおいてもc-Met Ser985のリン酸化と相反的な制御を受けることが明らかになった。 4.考察:c-Met Ser985のリン酸化は、細胞・組織傷害の察知と連携して、HGFに対するc-Metレセプターの応答能のON⇔OFF機能変換を制御し、組織再生の開始(無傷性の破綻)と停止(無傷性の察知)の制御、組織恒常性維持に関与するメカニズムの一つと考えられる。
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