研究概要 |
3町村に設定した3048人のコホートのうち,脳血管疾患,心筋梗塞,悪性新生物の既往者を除いた2889人について生活習慣と死亡との関連について解析した.8時間を超える睡眠をとっている者では7〜8時間の者に比べ,40歳以上60歳未満の若い世代で死亡のリスクが3.4倍上昇していた.1日30分以上歩行している者では30分未満の者に比べ,60歳以上の高齢者で死亡のリスクが40%低下していた.天然果汁を「週3回以上」摂取していた者では「月2回以内」の者に比べ,若い世代で死亡のリスクが48%低下していた.2合を超える飲酒をしている者では1合以内の飲酒者に比べ,若い世代で死亡のリスクが3倍に上昇していた.喫煙者では非喫煙者に比べ,高齢者で死亡のリスクが1.7倍上昇していた.「生きがい」や「はり」があると「はっきりいえない」者では「ある」者に比べ,高齢者で1.9倍死亡のリスクが上昇していた.以上の項目を組み合わせた生活習慣スコアにて死亡のリスクを評価した結果,スコアが2点以下の者に比べ,3〜4点の者,5〜6点の者ではそれぞれ死亡のリスクが48%および64%低下した.また,M村およびT町においてADL阻害要因に関する調査を実施した結果,男では脳卒中の既往がM村とT町に共通して関連がみられ,さらにM村では心筋梗塞および悪性新生物の既往が,T町では糖尿病の既往が関連していた.女では脳卒中,大腿骨頸部骨折,糖尿病の既往が両町村に共通してみられ,さらにM村では心筋梗塞の既往が,T町では腎臓病の既往が関連していた.年齢および既往疾患を調整しても,生きがい等の主観的人生観がADL障害と関連していた.縦断研究では,睡眠時間が8時間を超えること,歩行時間が30未満であること,2合を超える飲酒をしていること,喫煙習慣があること,「生きがい」があるとはっきりいえないことが死亡およびADL障害と関連がみられた.
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