研究課題
基盤研究(B)
本研究では、破局的体験であるがんに関連した苦痛な想起・大うつ病と海馬・扁桃体との関連を心理社会学的評価法及び高次脳機能評価法を用いて明らかにすることを目的とした。研究は施設の倫理委員会で研究実施計画が承認された後、開示文書を用いて研究の目的を十分に説明し、参加者本人から文書による同意を得た後に行われた。対象は、1998年2月より1999年4月までに国立がんセンター東病院にて初発乳がんの手術を受け、術後3年以上経過した55歳以下の女性患者とした。がんに関連した苦痛な体験の想起及び大うつ病はDSM-IVに基づく半構造化診断面接により評価し、心理社会学的要因、脳形態との関連を検討した。心理的要因はProfile of Mood States、Mental Adjustment to Cancer scale及びImpact of Event Scaleにより評価し、社会的要因は診療録および構造化面接にて評価した。脳形態は3D-MRIを用いて脳を撮像後、海馬・扁桃体の体積及び全脳容積、頭蓋内容積を用手的に測定(ソフトウェアAnalyze PC)し評価した。結果、がんの破局的体験後に認められたがんに関連する苦痛な想起が不安の強い心理的適応と関連することが示唆された。また、がんに関連する苦痛な想起と左海馬・扁桃体体積が小さいことが関連し、大うつ病では関連がないことが示唆された。しかし、横断研究であるため、これらの関連の因果関係は不明であり、がんを体験していない健常者対照がないため、がんの影響も不明である。今回認められた関連をさらに詳細に検討するため、健常者対照を設定した縦断研究が必要である。
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