研究課題/領域番号 |
13470137
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
篠原 幸人 東海大学, 医学部, 教授 (60051504)
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研究分担者 |
松田 博 東海大学, 医学部, 助手 (20317811)
平林 久幸 東海大学, 医学部, 助手 (60328143)
瀧澤 俊也 東海大学, 医学部, 助教授 (70197234)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2002年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2001年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | myeloperoxidase / cerebral ischemia / reperfusion / peroxynitrite / nitrotyrosine / leukocyte / infarct volume / knockout mouse / brain edema |
研究概要 |
米国で脳塞栓発症3時間以内のt-PA静注の有効性が確認されて以来、超急性期血栓溶解療法に多くの関心が寄せられているが、再灌流による神経細胞障害については充分知られていない。そこで、神経細胞障害に大きく関与している白血球に注目し、多核白血球・単球が内在しているmyeloperoxidase(MPO)が虚血再灌流障害にいかに関与しているかを検討した(実験A)。さらに、永久および一過性局所脳血管閉塞モデルを用い、脳梗塞容積、NO2-Tyr生成率について2群間で比較検討した(実験B)。 【方法】(実験A)MPO欠損mice29匹、C57 Black/6 mice28匹を用い、中大脳動脈を2時間閉塞後再灌流させ、14時間・24時間後にsacrificeし、梗塞巣の同定・NO2-Tyrの定量を行った。脳梗塞容積はTTC染色により同定しdigitizerにて測定した。(実験B)SD ratを用い、両総頚・左中大脳動脈を24時間閉塞する永久閉塞群(n=14)と、両総頚動脈永久閉塞+左中大脳動脈を2時間閉塞後22時間再灌流する一過性閉塞群(n=12)の2群を作製した。NO2-Tyrは脳を梗塞部(1)、梗塞周辺部(P)、基底核梗塞部(B)に分割後HPLCにて測定した。HE染色slideよりdigitizerで梗塞巣容積を測定した。 【結果】(実験A)1)対照群と比較し、MPO欠損miceの脳梗塞容積は有意に増大していた(81±20 mm3 vs. 52±13 mm3)。2)対照群と比較し、MPO欠損miceの梗塞半球のNO2-Tyrは、虚血・再灌流14時間群で有意に増加し(3.3±2.9 vs. 1.4±0.4 μg/mg)、24時間群で増加傾向を示した。(実験B)1)NO2-Tyr生成率は、永久閉塞群ではI:0.04±0.02%,P:0.09±0.02%,B:0.01±0.01%、虚血再灌流群ではI:0.71±0.12%,P:1.09±0.22%,B:0.17±0.07%であり、永久閉塞群と比較して虚血再灌流群でNO2-Tyr生成率が有意に増加した。2)梗塞巣の容積は、虚血再灌流群の大脳皮質梗塞巣は永久閉塞群と比較して有意に増大した。 【考察】MPO欠損マウスでNO2-Tyrの生成を認めたことより、脳虚血/再灌流においては多核白血球に内在するMPOはチロシンのニトロ化やOH-の生成を抑制して神経保護的に働くと推察された。また再灌流での梗塞巣の増大とNO2-Tyrの増加は、多量のsuperoxideとiNOS活性化に伴うNOの産生が引き起こされ、ONOO-生成が増強されたことを反映している。以上より、臨床での血栓溶解療法は再開通の時期が遅れると梗塞巣が増悪することがあり充分な注意が必要と考えられた。
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