研究課題/領域番号 |
13470184
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
増永 慎一郎 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (80238914)
|
研究分担者 |
安平 進士 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (90311729)
今堀 良夫 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (80191899)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
|
キーワード | 休止期腫瘍細胞 / 微小核 / アポトーシス / γ線照射 / p53 status / 中性子捕捉療法 / 生体還元物質 / 低温度温熱処置 / 低温度温熱処理 / 原子炉中性子線照射 / p53status / 熱中性子捕捉化合物 |
研究概要 |
細胞の分裂死(増殖死)に密接に関連するとされる微小核出現率を指標に感受性を検出してきたが、アポトーシス死を指標とする感受性の検出法もまた、我々が開発した固形腫瘍内静止期(Q)細胞の感受性検出法に適用可能であることが4種類の腫瘍細胞系を用いることによって確認された。近年、放射線増感作用に期待を持たれている新規抗癌剤のTaxane類(Paclitaxel)も、アポトーシス死及び微小核出現率を指標とした分析では、P細胞に対する放射線増感作用のみが強くQ細胞に対してはほとんど認められず、Q細胞の制御にはやはりTPZとの併用が必要とされる事実も明らかになっている。さらにアポトーシス死及び微小核出現率の双方を指標として、新規に開発された中性子捕捉療法用熱中性子捕捉化合物であるL-p-Boronophenylalanine-^<10>B(BPA)のαアミノアルコール体L-p-Boronophenylalaninol(BPA-ol)が、固形腫瘍内全腫瘍細胞(P+Q)細胞とQ細胞の両方の感受性を共に高め、TPZと低温度温熱処置との併用でQ細胞の感受性をさらに高めることができ、有望な中性子捕捉化合物の一つであることが明らかになった。さらには、その光学異性体であるD-p-BPA-olもL-p-BPA-olと同様、またはそれ以上に有望な中性子捕捉化合物の一つであることも明らかになった。 一方、放射線感受性に大きな影響を与えるとされる腫瘍細胞のp53 statusとQ細胞の感受性との関係については、p53 statusがwild typeであろうとmutation typeであろうと、Q細胞とP+Q細胞との間の放射線感受性の差は、アポトーシス死及び微小核出現率を指標とする限りほぼ一定であり、腫瘍治癒の視点から見るとQ細胞の感受性を上昇させP+Q細胞との間の感受性の差を縮小させる努力がp53 statusにかかわりなく必要であることも明らかになった。他方、中性子捕捉療法との関連では、固形腫瘍内においては熱中性子捕捉化合物である^<10>B化合物由来の^<10>BはP細胞によく集積しQ細胞には集積しにくいという特性が認められるが、この特性はp53 mutation-type腫瘍よりもp53 wild-type腫瘍でより顕著に認められることが明らかになり、Q細胞とP+Q細胞との間の感受性の差を縮小させるという点から見ると、p53 mutation-type腫瘍の方が中性子捕捉療法の良い適応となることが示された。また、生体還元物質や低温度温熱処置との併用がp53 wild-type腫瘍内のQ細胞を増感し得るという事実を我々はすでに明らかにしてきたが、p53 mutation-type腫瘍においても同等に有効であり、この併用処置による増感効果は、p53-independentであることも明らかにし得た。
|