研究概要 |
本研究ではいかなる遺伝子にも即時対応可能な汎用型酵母ストップコドンアッセイの開発をめざした. 1.この目的を達成するため本研究では,1)被検遺伝子のPCR増幅の際に,線形化ベクターの両端部に一致する配列を付加する最適の方法を開発し,それによる相同組換えの効率と正確性を検証する.2)被検遺伝子産物がADE2活性中心に干渉する作用が被検遺伝子によっては現れる可能性があるのでそれを防ぐ最適なスペーサー配列を被検遺伝子とADE2の間に組み込む.3)完成した汎用型酵母ストップコドンアッセイで任意の遺伝子の変異検出が可能なことを実証する,という3段階の研究目標を設定,これらについて検討を行い,各条件を十分満足するアッセイを開発し,これの誌上発表を行った(Am J Pathol). 2.このアッセイをヒト癌サンプルに適用することにより,ヒト卵巣癌におけるE-cadherin遺伝子の変異を検出した.さらに本アッセイにて変異を同定する対象遺伝子を決定する研究の結果,肺癌におけるHOXD3(Int J Cancer),脳腫瘍におけるp73遺伝子(Brain Pathol),軟部組織肉腫におけるthymosin-beta4(Am J Pathol),骨肉腫におけるVEGF(Br J Cancer),肝細胞癌におけるTGF-beta receptor II(Cancer Immunol Immunother)などが対象遺伝子となることが明らかになった.現在これらの遺伝子について癌における変異検索を進めている.
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