配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2001年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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研究概要 |
平成15年9月に45歳,女性の進行大腸癌患者(リンパ節転移,肝転移,腹膜転移,腹壁転移)に対して、HLA full matchの55歳,兄をドナーとして骨髄非破壊的同種末梢血幹細胞移植(ミニ移植)を施行した。ドナーの末梢血幹細胞採取前のドナーの腫瘍抗原(CEAペプタイド)感作については同意が得られず施行できなかった。移植前処置として、エンドキサン(2600mg/body)X2日(day-8,-7)フルダラビン(36mg/body)X5日(day-5〜0)を施行した。前処置後にドナーである兄の末梢血幹細胞の移植(CD34+細胞3.0X10^6/kg)を行い、移植変対宿主病(GVHD)の予防としてサンディミュン,メソトレキセートの投与を行った。ドナー細胞の生着を確かめるためキメラ解析を施行したが、day22,27,41で10%程度であった(Tcellのみキメラ化)。ドナー細胞の生着を促すために免疫抑制剤の投与量を漸減したが、day35から血性便を認め、GVHDを認めるようになりた。サンディミュンとソルメドロールのパルス療法によりGVHDをコントロールしたが、CEAの漸増と共に腫瘍が増大し全身状態の悪化を認めた。day57からタクロリムスを投与したが、day63にT-bilが6.42にまで上昇し、翌日(day64)抗腫瘍効果を認めないまま死亡した。 現在消化器癌を中心とした固形癌に対するミニ移植は他施設(東京大学,国立がんセンター中央病院,九州大学等)でも精力的に試みられてきているが、総じて未だ良好な治療成績は、腎癌を除いて報告されていない。本研究助成期間で結局難治性進行消化器癌に対して1例のミニ移植を施行できただけであり、トランスレーショナルリサーチとしての本療法の難しさ(IC取得から実際の治療に至るまで)を痛感した。しかし、今後もスキルス胃癌,膵癌,胆管癌等の難治性消化器癌を対象とし、症例があれば本療法の臨床研究の継続を行っていきたい。
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