研究課題/領域番号 |
13470276
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 佐賀大学(医学部) |
研究代表者 |
伊藤 翼 佐賀大学, 医学部, 教授 (10110496)
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研究分担者 |
古川 浩二郎 佐賀大学, 医学部, 助手 (90264176)
大坪 諭 佐賀大学, 医学部, 講師 (20291528)
岡崎 幸生 佐賀大学, 医学部, 講師 (80203975)
夏秋 正文 佐賀大学, 医学部, 助教授 (90075557)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2001年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
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キーワード | 大動脈基部再建術 / 自己弁温存術式 / 大動脈弁 / re-modeling法 / re-implantation法 / Ross手術 / sino-tubular junction / 心臓内視鏡 / re-medeling法 / re-implantaion法 |
研究概要 |
大動脈基部再建術において、大動脈基部の生理学的特性・動態機能を理解し、手術術式を選択することが重要である。近年の大動脈弁手術・基部再建術式の進歩で、術式の選択枝が飛躍的に増加している。すなわち、心臓外科医は各症例での大動脈弁閉鎖不全などの病態を理解したうえで最適の術式を選択しなければならない。そこで、大動脈基部の生理学的特性・動態機能を解明し理解を深めることは極めて重要である。 まず、豚の大動脈基部と肺動脈基部の生理学的特性をデジタル3次元変位測定システムを用いて解析した。大動脈基部、および肺動脈基部は、Thubrikarらが1981年にAmerican Journal Physiologyに発表したごとく、収縮期と拡張期で形態を変化させていることが確認された。Basal ringとSino-tubular junction(STJ)がそれぞれ10 15%程度のdistensibilityを持ってしなやかな弁の開閉を助けている。 正常大動脈基部に高圧(200 mmHg)をかけても明らかな大動脈弁閉鎖不全は認められずSTJの拡大も軽度であった。ところが、正常肺動脈基部に高圧(100cm水柱圧:大動脈拡張期圧)をかけると、閉鎖不全(逆流)が認められ、basal ring、STJの両者の拡大を伴っていたBasal ringのみ拡大しないよう補強してもSTJの拡大が残り閉鎖不全の改善は不十分であった。逆にSTJのみ拡大防止補強をしてもbasal ringの拡大が残存し閉鎖不全の改善は不十分であった。Basal ringとSTJの両者を補強すると閉鎖不全は消失した。すなわち、基部再建において、basal ringとSTJの両者の拡大を防ぐことが重要であることが判明した。 豚にre-modeling法による基部再建術とre-implantation法による基部再建術をそれぞれ行い、デジタル3次元変位測定システムでbasal ringとSTJのdistensibilityを測定した。re-implantation法では、basal ring、STJともにdistensibilityは制限され、ステント弁の状態であった。re-modeling法では、とくにbasal ringのdistensibilityが温存されていた。さらに、長軸方向のdistensibilityが正常豚で認められ、re-implantationでは長軸方向のdistensibilityもほぼ消失しているのに対し、re-modeling法では、長軸方向のdistensibilityもある程度温存されていた。 従って、弁尖に架かるストレスは弁輪のdistensibilityのほとんどないre-implantation法においては上昇し自己弁尖の長期的なdurabilityという観点では問題がある。 大動脈基部再建において、生理的なbasal ringとSTJの適度なdistensibilityを温存しつつ、basal ringとSTJの拡大防止に努めることは、相反するように思えるが、至高の基部再建術式の確立を目指し研究を発展させる必要がある。
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